遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

京都、オトナの修学旅行/赤瀬川原平、山下 裕二

イメージ 1

京都、オトナの修学旅行 赤瀬川原平,山下 裕二  (ちくま文庫

NHKEテレ「趣味どきっ! 国宝に会いに行くⅡ」で始まった国宝を訪ね歩く旅、まずは、奈良の法隆寺元興寺(がんごうじ)からはじまり、第2回は京都の国宝の旅だった。

その京都に関連しておすすめの1冊が「京都、オトナの修学旅行」。
以前「日本美術応援団」という書籍を紹介したが、http://blogs.yahoo.co.jp/tosboe51/28555547.html 本書はその続編で、著者は故赤瀬川原平(画家・作家)と山下裕二(美術史家)。

下に紹介した目次でその全容がご理解されよう。中学や高校の修学旅行で行った清水寺や二条城は、大人になって自分の意志で訪ねたそれらとは別世界だと思う。色気づき始めた中高生が、団体旅行で寺社仏閣を訪ねて何の感動があるだろうかと思う。

「趣味どきっ!」の国宝ナビゲーターは橋本麻里、「見仏記」の案内人がいとうせいこうみうらじゅんのひらがな名の二人、そして学ラン姿の日本美術応援団の二人が赤瀬川と山下の二人。この応援団コンビの再結成は今となっては不可能になってしまった。

ともあれ、私はこの5人に国宝や仏像や日本美術の肩の凝らないアプローチの仕方を気付かせてもらったように思う。

京都や奈良、「ああ、そこは修学旅行で行きました」として行った気になっている処に、もう一度行かれることをお勧めする。紅葉時は、ベストシーズンだが最も混雑する。今年は紅葉が少し遅いと言われているので、12月くらいがいいかもしれない。まずは、大変な国宝がぶっきらぼうに並んでいる東寺などがおすすめか。京都駅からお散歩気分で歩いてもいける。

◇この本の内容
京都といえば修学旅行。修学旅行といえば、お寺や仏像。イコール退屈。それは、子供の修学旅行だったから。お寺の造作や仏像、襖絵などの味わいを感じられるようになるにはオトナであることが必要だ。歳をとって初めて日本美術の愉しみ方が分かるようになるのだ。金閣寺清水寺桂離宮平等院などの京都名所を「日本美術応援団」の2人が行く。

◆この本の目次
金閣―「むきだし」の金は今日もリニューアル中
二条城―ゼネコン狩野株式会社の大仕事
東寺―とうじのまんま、ぶっきらぼうに並んでます
高台寺円徳院―和尚の留守中に描いちゃいました
清水寺―信仰と観光の幸福な結合
京都御所―ミカドの留守番130年
桂離宮―純粋な贅沢を死守してきました
平等院―平安貴族が夢見たサンダーバード基地
銀閣―砂に銀を映したアーティストは誰か?
樂美術館―楽茶碗、15代目も楽じゃない
待庵―利休がしかけたワナつき二畳
嵐山―貧修学旅行生、嵐山の秘部に迷い込む