遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

見仏記ガイドブック/みうらじゅん・いとうせいこう

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見仏記ガイドブック   みうら じゅん ・いとう せいこう  (共著) 角川書店

今回ご紹介の書籍は、関西テレビ制作番組「TV見仏記」とタイアップした書籍「見仏記」をまとめたガイドブックです。

みうらじゅんいとうせいこうが、番組のために仏像を訪ねて旅を始めて20年以上が経過したそうです。私は数年前にCS放送で初めて見たのですが、このふたりが訪ねて行った名刹や古刹の仏像の前で、ウルウルワクワクふにゃふにゃになってうんちく話を始めるのにとても興味を覚えました。

私は仏像自体への興味はそこそこなのですが、この二人が仏層の前でひれ伏していろいろ語ってくれる姿を見れば、「そこそこ」を卒業して「興味津々」人間に変身してしまいます。テレビの威力を、まざまざと見せつけられる思いで、この二人の造詣の深さやユーモアあふれる解説が、とてもテレビ的であります。

本書は全国の169のお寺さんを紹介してくれます。お寺や仏像によって内容の濃淡(フルカラーもあればモノクロームもあり)ありますが、「まずそのお寺さんに行ってみる」的ガイドとしては申し分のない一冊です。いとうせいこうの文章や写真やみうらじゅんの描いたイラストも充実しています。

私は今、御朱印を集めて回ることが面白そうだという興味があるのですが、本書はその御朱印もいくつか紹介されています。

どこかへ旅して、まず地元お寺さんに行けば・お参りすれば、おそらく間違いなく名所1つゲットとなると思います。寺院は、門や本堂の建物、建物に付随する建具や装飾品や意匠などの美術品、樹木や庭石が配置された庭園、襖や天井や掛け軸などに描かれた名画、そして本堂に置かれたご本尊をはじめとする数々の仏像が総合芸術となって参詣する人々を楽しませます。心をなごませてくれます。

寺院の持つ高貴で清潔で洒脱な包容力だけでありがたく、幸せな気分に浸れます。それがご利益(りやく)なのでしょう。
涼しくなればまた奈良にでも出かけてみますか、みうら&いとう的気分で。合掌。