遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

奈良散歩/興福寺・国宝館


奈良散歩の最終目的地は、興福寺の国宝館でした。ここは、仏女(ぶつじょ・仏像好きの女性)の聖地といっても良い場所でしょう。国宝館は2010年3月にリニューアルオープンし、私はその当時以来6年ぶりの訪問でした。

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乾漆八部衆立像(かんしつはちぶしゅうりゅうぞう)
八部衆のスーパースターは、ご存じ阿修羅像(あしゅらぞう:上段・左端)です。
胸から上だけが現存する五部浄像(ごぶじょうぞう:上段左から2番目)が、ガラスケースに収められていますが、それ以外はオープンな空間に一列に展示されています。どれも150㎝くらいの大きさですが、素晴らしいラインナップです。
頭部が鳥の迦楼羅像(かるらぞう:下段左から2番目)は、子どもの頃から印象的だった像で、どこかSF的であります。
これらは奈良時代に造られていますから、奇跡の1300年を生きてきました。

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木造天燈鬼・龍燈鬼立像(もくぞうてんとうき・りゅうとうきりゅうぞう)
これまた国宝館のスーパースターです。像自体の大きさは意外と小さくて、双方とも78㎝くらいですが、燈籠の位置で大小の変化がつけられています。普通は四天王に踏みつけられている邪鬼ですが、ここでは、仏前を照らす役目を与えられています。
左が龍燈鬼(りゅうとうき)像。上目づかいがユーモラスです。右が天燈鬼(てんとうき)像で、役目をもらって張り切っているように見えます。二つ合わせて静と動、阿吽(あうん)の像にも見えます。この造形美は世界に誇れる素晴らしいものだと思います。

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木造金剛力士立像(もくぞうこんごうりきしりゅうぞう)
いわゆる仁王さんです。通常は大門の左右に安置されますが、興福寺は西金堂内に安置されていたようです。153㎝くらいの大きさですが、その迫力たるや圧倒的です。
天燈鬼・龍燈鬼とこの金剛力士像は、13世紀鎌倉時代に造られた国宝になります。