《26歳の井山裕太名人がおととい、史上初の七冠独占を決めた▼「打ちたい所へ打つ」のが信条という。ときに相手の強い所に踏み込む危険を冒す。》
ここ10年ほどの間に、中国や韓国の囲碁界の若い世代が、定石(昔から研究されてきて最善とされる、きまった石の打ち方)とは異なる手を編み出して相手を負かすようになった。日本の棋士もその影響を受けてきたので、昔なら叱られた手を打つようになった。
「この一手の意味はわかりませんが、井山が打つなら正しいのでしょう」
と笑いながら言う。これは最大の褒め言葉だ。
井山も、自分は定石をよく知りませんから、と言う。その結果、「打ちたい所へ打つ」のである。
七冠獲得後、ニュースの特集で小さいころの井山が映し出されるが、うちの奥さんが声をあげて笑う「えーっ、可愛い!今と一緒やん!」。
おそらく現在の井山は、風貌も精神も囲碁の打ち方も子どものころと同じ天真爛漫なんだと思う。
「打ちたい所に打つ」というだけでなく、「ときに相手の強い所に踏み込む危険を冒す」のである。自分を信じて果敢に踏み込む勇気ある姿勢に、門外漢の私は感動する。
コソ泥のようなヘタレ政権が恐くてジャーナリストが務まるのかと思う。井山祐太の勇気を見習えと私は言いたい。
ジャーナリストよ、「言いたいことを言う」「ときに相手の強い所に踏み込む危険を冒す」といった井山の精神を見習ってほしい。政権も悪いが、矛を収めたジャーナリストがもっと悪いと思うのである。