遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

笛を吹く少年/マネ

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『笛を吹く少年』
作者 エドゥアール・マネ(1832 - 1883年)
制作年 1866年
素材 油彩
寸法 161 cm × 97 cm 
所蔵 オルセー美術館(パリ)

マネのいちばん有名な作品が「笛を吹く少年」ではなかろうか。

誰のなんという絵なのかは知らなくても、この絵を見たことがないという人はあまりいないのではないだろうか。という意味で、マネの一番有名な作品だといえよう。

本作は、マネ30半ばの作品。すでに「草上の昼食」や「オランピア」という、ビーナスのように神々しい裸婦ではない、生々しい裸婦を主体としたアバンギャルドな作品を世に出していた。さしものパリでも、そのみだらなイメージの作品世界はまだ受け入れられなかった。

フランスを逃れてなぜかスペインに渡ったマネは、当時から200年もさかのぼるベラスケス(1599 - 1660年)の作品に影響を強く受け、「笛を吹く少年」を描いた。そして他の印象派の作家たちと同様、日本の浮世絵の影響もうけている作品だといわれている。

生々しい裸婦の絵画もいいだろうが、(自宅にはかざりたくないが)はっとするような生命感あふれるこの作品が、私は好きだ。
ナイーブで洗練されていてケレン味のない、文部省推薦みたいな作品を決してバカにしてはいけない。そういうお手本のような作品である。

オルセー美術館で、静かに私たちを待っていてくれる。