遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

日曜朝の清々しい毒「時事放談」

イメージ 1

日曜日の朝、TBSの名物番組と言えば「時事放談」。この番組は1957年から続いている討論番組であり、私の子どものころは小汀利得(おばまりとく)と細川隆元(りゅうげん)の固定出演で、2人が向かい合って世相を斬っていたものだ。小汀利得は、しゃべり方が個性的で、声帯模写(ものまね)のネタに欠かせない人物だった。

いま関西では毎日曜日5時30分からの放送で、私は録画して毎回変わる2人の出演者で録画を見るかどうかを決める。最近はほぼ毎回見ている。

さて、最新の時事放談のゲストは、元財務相藤井裕久 と作家の半藤一利だった。司会はいつも通りの御厨貴(みくりやたかし)。今年最後だということで、ゲスト2人の選ぶ今年の3大ニュース。

藤井裕久の重大ニュース
3位 地球温暖化パリ合意
 食糧難や農地がダメになることで難民がさらに1億人増える。中国とインドが同意してくれたので感動。
 京都議定書のように大国が逃げ出さないことを祈る。(半藤)

2位 イスラム国パリでテロ
 ISの行動の代表例がパリでのテロ。差別や所得格差の裏返しだということも思慮せねばならない。

1位 安保法案成立
 戦争を始めるのは「空気」で、それに流されやすい日本人。恐ろしい結果が待っている。
 一般の人がデモに参加した。60年安保の全学連を主体としたデモとは一線を画す。
 仮想敵国を中国とすることに問題がある。アメリカと中国は接近しているのに、日本の立ち位置は間違いだ。
 戦前の国家総動員法と同じ仕組みだ。仮想敵国を作りたがる戦前回帰だ。(半藤)

半藤一利の重大ニュース
3位 天皇皇后パラオ
 天皇皇后は、沖縄やサイパンや広島にも慰霊に行かれた。今年はパラオ天皇の1年が始まった。
 安倍戦後70年談話に対する陛下の無言の忠告。

2位 安保関連法案とシールズ
 安倍内閣が法を無視して成立させたことにあ然。臨時国会も開かないのも法の無視。
 戦争を知らないシールズたちが、自発的に民主主義のために立ち上がったことが素晴らしい。

1位 イスラム国日本人殺害
 世界秩序へのイスラム国の挑戦だ。平和国家だった日本が巻き込まれることは避けるべきだ。
 安倍首相の責任が重大だ。日米が対等の軍事同盟を結べば、日本に敵対することになるのが問題だ。(藤井)

御厨(司会)
1位 沖縄VS国
 国が沖縄を訴えるというのは間違い。
 日本で地上戦があったのは、歴史上沖縄だけである。(藤井)
 沖縄の人が自主的に辺野古を認めるわけがない。(半藤)

言っておきたい事
◇藤井
突っ張った政治家はみな辞めろ。
非核三原則を守れ、武器輸出三原則を守れ、安倍は早くやめろ。

◇半藤
こわもての政治家は辞めろという意見に大賛成。政治家はもっと勉強しろ。
両陛下のご健在を祈る。慰霊の旅を続けられている限り、日本は安全でいられるという気がする。

この2人は保守本流だと思うが、世の中が右に行ってしまったので、今や二人はリベラル中のリベラルだ。彼らの言っていることは真っ当で、よく言ったと拍手ものだ。

彼ら二人のほかにこの番組によく出演するのが、丹羽宇一郎(元伊藤忠会長・中国大使)、浜矩子(同志社大学院教授)、増田寛也(元宮城県知事・元総務相)、武村正義(元財務相)、片山善博(元鳥取県知事・元総務相)、石破茂野中広務(元官房長官)といった面々。
石破はともかく、どの面々も政権にはっきりモノ申すタイプで、当然に彼らは現政権をまったく認めておらす、日曜の朝に清々しい毒を吐く。

時事放談は言いたい放談でもある。