松本竣介 「 建物」 1935年 油彩 98×130㎝ 神奈川県立近代美術館蔵
松本竣介(まつもと しゅんすけ、1912年 - 1948年)は、東京生まれの岩手育ち。旧制中学に入学してすぐに聴力を失う。
上京した兄に絵の道具を送ってもらったことをきっかけに、14歳のころから独学で絵を描き始める。
17歳で上京し私塾のような太平洋美術会で腕を磨き、二科展には、ご覧の「建物」で初入選した。1935年の第22回展、松本23歳のことである。今開催中の「二科100年展」には、1941年の入選作「画家の像」も展示されていたが、まるで別人の作風だった。
晩年、横浜の風景を切り取った作品群「Y市の橋」などを残しているが、都会的でスマートなそれらに比べて、初入選の「建物」はまだ洗練されてはいない。しかし、力強さがあって対象物に重厚さを感じる。素晴らしい。
松本は36歳で短い生涯を終えるが、太くて短い人生を全力で生きた証が、多彩な作品として残っている。
「伝説の洋画家たち 二科100年展」
大阪展 11月1日まで 大阪市立美術館で開催中
※石橋美術館より
この展覧会の会期中は《海の幸》を含む青木繁作品の展示はありません。次回の展示予定は2016年1月23日-3月21日となります。