遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

井山祐太の全日本早碁戦を観戦

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10月10日の京都行のメインイベントは、全日本早碁オープン戦の大盤解説会。

井山祐太が決勝戦まで進出したとあって、京都での大盤解説会の参加申し込みをしておいたら、忘れたころに招待状が届いたのでうきうきと出かけて行った。
この棋戦のスポンサーが京都の宗教団体で、そこのお寺の畳敷きの本堂にて解説会があった。(画像左:奥に対局棟のある庭園、右:大盤解説会の本堂)

10月6日には、囲碁名人戦の全7局の第4局が賢島で開催され、井山祐太は4連勝で防衛を果たした。その4日後、名人戦の勢いのまま早碁オープン戦の決勝に臨んだ。

囲碁にはさまざまな棋戦(タイトルマッチ)があり、制限時間が短い碁もあれば、各々の持ち時間(考慮時間)が8時間の2日間におよぶ棋戦もある。

例えば、大3冠と呼ばれる「棋聖戦」「本因坊戦」「名人戦」は、予選を勝ち抜いてきた挑戦者とタイトルホルダーによる棋戦(挑戦手合い)は、8時間ずつの持ち時間で2日制。陸上競技で例えれば、3つのフルマラソンといったところ。
また、「王座戦」「天元戦」「十段戦」「碁聖戦」の4冠は、3時間の持ち時間の1日制のタイトル戦で、10000m走くらいのレース感覚か。

それに比べて、100m走に例えることができるのが、テレビで放送されている「NHK杯戦」や「竜星戦」である。この早碁オープン戦は、400m走くらいに位置付けられる。

この早碁は、17歳の許家元(キョ カゲン)三段という、日本で活躍する台湾生まれの若者と、26歳の井山とのマッチアップとなった。結果は井山の勝利となった。許三段は、段位以上の実力の持ち主で短距離走が得意の若者で、すべての騎士が出場するこの大会で決勝戦まで進出したのだが、井山の前に涙を飲んだ。

陸上選手なら、短距離と長距離のどちらかを選択するのだが、囲碁や将棋のプロはオールマイティを要求される。井山は、とりわけ長距離の強さは素晴らしいものがあるが、短距離走も人後に落ちない強さがある。

井山はすでに今年度の大3冠を防衛している。また、保持する「碁聖」も防衛した。
そして、昨年失った「王座」と「天元」の今年の挑戦者になった。10月からほぼ並行して行われる「王座」と「天元」のリベンジを果たすと、また6冠に返り咲くことになる。

強靭な精神の持ち主である。