画像左上から右に2015年の「日本伝統工芸展」の入賞作品12点のご紹介。
1 高松宮記念賞 「銀泥彩磁鉢」〈陶芸〉井戸川豊(千葉)
2 朝日新聞社賞 「乾漆線文合子」〈漆芸〉水口咲(石川)
3 日本工芸会会長賞 「桐塑彩色「目覚めの刻」」〈人形〉井上楊彩(奈良)
4 日本工芸会保持者賞 「紬織着物「仲秋」」〈染織〉村上良子(京都)
5 文部科学大臣賞 「編込接合器「ひびき」」〈金工〉家出隆浩(埼玉)
6 日本工芸会新人賞 「幾何紋銀彩組鉢」〈陶芸〉多田幸史(石川)
7 東京都知事賞 「栃拭漆盛鉢」〈木竹工〉細川毅(富山)
8 日本工芸会新人賞 「紙胎蒟?青嵐盛器」〈漆芸〉安藤源一郎(愛知)
9 日本工芸会奨励賞 「花流水釜」〈金工〉角谷勇圭(大阪)
11 日本工芸会奨励賞 「硝子切子花器「清溢」」〈諸工芸〉気賀澤雅人(神奈川)
12 日本工芸会奨励賞 「欅拭漆盛器「瀬」」〈木竹工〉本間潔(宮城)
京都に出かける用があって、ちょうど京都高島屋で「第62回日本伝統工芸展」が開催中だったので少し早めに家を出る。
1年に1回初秋に、NHKの「日曜美術館」でこの展覧会の特集が組まれる。そのたびに、見に行きたいと思わずにはいられない。しかし、実際に「伝統工芸展」に出かけたのは今日が初めてだった。
日曜美術館では、入選作家を訪ねて、その作家と技法をクローズアップする。
このたびノーベル賞を受賞された大村博士は、あちこちの土を採集して微生物を新発見される研究をされているが、「伝統工芸展」作家の営みもそれに近いものがある。
着想に惜しみなく時間を使い、ひと塗り、ひと織り、ひと削り、ひと練り、ひと打ち、ひと編みに、丹精を込め魂を込め作品を仕上げる。それはそれは強靭でたおやかな精神の持ち主たちが、この伝統工芸展に集結する。その結晶がこの造形美と機能美の極致なのである。
これらを洗練と呼ばずに何と呼ぼうか。高い精神性から生まれた珠玉の600点にため息。若いお方たちにぜひ目の保養に見てもらいたい。
前日に見た、地元の市の美術展に出品されていたモダンなフォルムの青白磁とそっくりの作品を、伝統工芸展で発見。出品目録で確かめると、なんと同一人物の作品だった。改めて、地元の美術展のレベルの高さを確認した。
入賞作品の作家の住居地を見ると、全国に平均に分布されている。特定地域の土や風や水や草木でなければ、これらの作品は産まれ得ないのである。時の政府は地方創生で何をしたいのかはわからないが、その土地の工芸作家に訊いてみるとよい。的確な答えが得られると思う。
■今後の開催スケジュール
京都 2015.10.07~2015.10.12 京都髙島屋
金沢 2015.10.30~2015.11.08 石川県立美術館
岡山 2015.11.12~2015.11.29 岡山県立美術館
松江 2015.12.02~2015.12.23 島根県立美術館
仙台 2016.01.21~2016.01.26 仙台三越
福岡 2016.02.02~2016.02.07 福岡三越
松山 2016.02.16~2016.02.21 松山三越
広島 2016.02.24~2016.03.13 広島県立美術館