大阪の財政問題などはまた振出しに戻ったが、ゼロに戻ったわけではなくて都構想で論議があったことが下敷きになって今後も論議は続いていくことになるようで、大阪をどのようにしていくのか今後も考えてほしい。何よりも住民投票で140万人が一票を投じたのだから、住民意識も高くなったことが大阪にとってはいいことなんだろうと思う。
それにしても、橋下市長という人は、良いことを言っても癇(かん)に障る、政治家には向かない破壊的な性向を持っている。しかし、彼は都構想の公約を掲げて直接選挙で選ばれて、大阪府知事や大阪市長まで務めたのだから、今回の挫折はショックだろうと思う。今後は弁護士としてタレントとして、愛される庶民の味方になれば素晴らしいと思う。
一方、安倍首相は、直接選挙で選ばれたわけでもなく、投票率が高い選挙で勝ったわけでもないのに、何をやっても国民の信任を受けていると勘違いもはなはだしい。
今回の戦争法案については、自民党の足元を含めて、あちこちで異論や不協和音が出ているようだ。今後の国会論議でどれだけぼろをだすのか見ものである。とにかく野党は、「出てきた戦争法案は仮想が多すぎ、現実的には個別的自衛権で解決できる」と、徹底的に抵抗してほしい。
そもそも、自民党にこんな法案を出してもいいと国民は信任していない。朝日新聞の世論調査では、安倍内閣を支持する(45%)としながらも、今般の安保法案について、今国会で成立させる必要はない(60%)としている。
大阪都構想の住民投票結果を見れば、憲法改正のための国民投票を勝利するのは至難の業だと思う。来年の参議院選挙を大勝してもなお、憲法改正は無理であろう。国民投票は、選挙で政治家を選ぶほどぞんざいな投票ではないからだ。
出直し選挙まで実施し、直接選挙で再選された橋下市長でさえ、都構想の是非を直接問う住民投票では勝てなかったのだから。