遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

「おじいちゃん、ぼくやったよ!」演説

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画像は米議会での安倍首相の演説原稿(ウォール・ストリート・ジャーナルより)

「おじいちゃん、ぼくやったよ!」演説に、いろいろ思うことはあるが以下の感想にする。

安倍首相の米議会での演説の全文を日本語で読んだ。彼の(寒くて痛い)英語での演説など見たくも聞きたくもないので、日本語にしたものを読んだ。
スピーチライターと本人のセンスの問題なんだろうけど、若手の噺家の落語の方が格調高くて面白い。演説ではなく、「その原稿」の舌足らずな朗読会で、時間の無駄だった。
自分を批判しているかもしれないテレビなんか見張ってないで、自分の頭で考えて自分の言葉で良い演説文章くらい作りましょうよ、首相なんだから。

少しさかのぼるが、2012年11月14日の国会での野田首相安倍自民党総裁との党首討論野田首相は、必ず次の国会で定数削減をすると約束してくれるなら16日に解散する、と発言。まさかと、たじろいだ安倍総裁は以下のように発言した。

「定数削減や選挙制度の改正を私と首相だけで決めていいはずがない。少数政党に極めて不利になるから、ちゃんと議論しようと言っている。首相がやるべきことはこの混乱の終止符を打ち、新しい政治を始めていく。その決断を求めている」

その後、定数削減はうやむやなままで放置されている。

時は流れ、昨日の米議会での演説で、首相となった安倍晋三は、国会で審議に入るまでもなく、勝手な放言をしている。野田首相との党首討論「私と首相だけで決めていいはずがない」といったお方が、新ガイドラインを私と側近で決めましたとドヤ顔で演説をした。

日本はいま、安保法制の充実に取り組んでいます。実現のあかつき、日本は、危機の程度に応じ、切れ目のない対応が、はるかによくできるようになります。
この法整備によって、自衛隊と米軍の協力関係は強化され、日米同盟は、より一層堅固になります。それは地域の平和のため、確かな抑止力をもたらすでしょう。
戦後、初めての大改革です。この夏までに、成就させます。
いま申し上げた法整備を前提として、日米がそのもてる力をよく合わせられるようにする仕組みができました。一層確実な平和を築くのに必要な枠組みです。
それこそが、日米防衛協力の新しいガイドラインにほかなりません。

安全保障法制が5月の国会に提出され、8月15日には靖国神社に首相をはじめとした閣僚が参拝し、戦後70年談話を示し、来年の参議院選挙で与党が勝ち、いよいよ憲法改正への動きが具体的になっていく。
歴史の見張り番である野党(ほとんど眉唾野党)とメディア(骨抜き状態)と知識人(まだ今のところ頑張っている)が、どのように蹂躙されたり懐柔されたり無視されたり抑え込まれていくのか生で見られる。

長生きはするもんだと、自虐的にそう思う。