遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

痛さ最上位/太平洋戦争

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日本の歴史上、一番痛い経験は、太平洋戦争である。

日本は、実に長い歴史の中で、天下取りなどのさまざまな内戦や大きな自然災害を経験してきたが、一番大きな痛みは、先の大戦であった。

人体で例えると、心も体もぼろぼろの痛い体験で、これに追随する病歴はいまのところない。まったくない。二度とないと言いたいところだが、最近これが怪しくなってきた。二度と御免こうむるとは言えるのだが、二度とないとは言えないのが悲しい。

病気の痛さで最高に痛いのが尿路結石だと、前の記事で書いた。あの痛さはたまらないので、二度と経験したくないので、食べるものや運動や睡眠時間に留意した生活を心がける。もちろん、他の病気やけがにも注意し、骨折や歯痛やストレスなどに侵されない健康体を維持しようと努める。

それが日本の国家レベルだと、歴史上最も痛かった「大戦」は意志の力で避けられるのだから、予防を施し賢く避ければいいのである。
幸い、世界に冠たる平和憲法がある。
「地球の歴史上、戦争の武器として『核』が使用されたのは日本だけです。広島と長崎の2例だけです。私たちはかつて残忍な加害者であり、悲惨な被害者でもありました。その反省から結論が出ました、私たちは二度と戦争をしません。そのことは、天下御免憲法に謳っています。」
これで万事終了、誰にも文句は言われない。

戦後生まれの私は、自身の経験上、ベトナム戦争が終わったとき安堵感が広がった。まずは、「終わってよかった」それから、「ベトナムの人はもう苦しむことはない、アメリカが失敗した」と喜んだ。

太平洋戦争の終結は、記録や伝聞で想像の範囲を超えないが、敗けた時は国民は皆嘆き悲しんだと思う。しかし、時間経つにつれ、もう戦争は終わった違う世界が広がると皆喜んだと思う。

ゼロが100になる喜びよりも、マイナス100がゼロになることの方が、はるかに幸せだと思う。太平洋戦争の終結がそれだと思う。痛みや苦しみが終わったという喜びが大きかったと思う。

その快感を知らない人間、快感を忘れた人間、快感だと思えなかった人間たちが、また戦争を始めようとするのである。もう二度と戦争をしませんという憲法があるにもかかわらず、わざわざそれを改正して、例えば中国と戦うアメリカをサポートしたいと、のこのこ出かけて行くバカがどこにいるだろうか。

あんなに痛い体験は、二度といやだ。体験していなくてもあの痛さは分かる。
70年経ってようやく傷は癒えたので、国を挙げて憲法が目指した健康で良質な国づくりに邁進するのみなのである。