(以下AYAKOさんの文章)
スイスの首都ベルン市では現在、スーパーの前やバス停など、公共の場に設置されたベンチにはこのように、「人種差別主義者が座る場所はない!(Kein Platz für Rassismus)」という文言が記されている赤いテープが貼られています。
私を含めて、最初はこのキャンペーンを知らなかった人は大抵、「酔った若者が斧か何かでベンチを傷つけ、それを警察が見つけて、証拠保存のためにテーピングを施したのだろう」と思い込むでしょう。そして、テープに印字された文字を読んでから、キャンペーンの一貫だと気づくことでしょう。
てっきり、人権擁護団体か若者グループの仕業かと思ったのですが、ベルン市によるものだと気づいて、私もびっくり!
こういうキャンペーン、今の日本ではできるでしょうか?!
赤いテーピングを見て、過去、自分が「人種差別」に該当するような振る舞いをしてきたかどうか、少なからぬ人々が考えるに違いありません。
現に、ベルン大学の前にあるバス停でバスを待っていたとき、椅子をまじまじと見て、うなっている人を見かけたことがあります。(参照終り)
私は一度だけスイスに行ったことがあるのですが、風景も水も空気も人も、走っている車まで美しい国でした。首都のベルンは、連邦議事堂でトイレ休憩した程度のほぼ素通りしただけの街ですが、きれいな落ち着いた街並みは忘れることができません。
そのベルン市の「人種差別撲滅キャンペーン」の赤いテープに拍手。
外見も内面も美しくいられることは難しいことですが、ベルンはそれを可能にしている素晴らしい都市であります。