遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

スパルタカス/スタンリー・キューブリック

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スパルタカス Spartacus
製作総指揮 カーク・ダグラス
日本公開 1960年12月15日 上映時間 193分(復元版)

スタンリー・キューブリックがメジャーになった作品「スパルタカス」をケーブルテレビの録画にて鑑賞。この作品は、史実「スパルタクスの反乱」をもとに書かれたハワード・ファストという作家の小説を、「ローマの休日」のダルトン・トランボが脚本に起こした。
製作は主演のカーク・ダグラス。共演は、ローレンウ・オリヴィエとジーン・シモンズの「ハムレット」コンビ。その他、ピーター・ユスティノフ(本作でアカデミー助演男優賞を受賞)やトニー・カーティスを起用している。

本作のスタッフやキャストの充実ぶりは、多分に山っ気のある製作者のカーク・ダグラスの思惑が働いていると思われる。事実、撮影開始時の監督トーマス・マンカーク・ダグラスと衝突して降板し、キューブリックに交代したという。作品を見終ってから、本作にまつわるいろいろなエピソードを知ったが、作品自体はとても面白かった。

ストーリーをごく簡単に説明すると、以下の通り。
スパルタカス(カーク・ダグラス)は、奴隷の身であったが仲間の奴隷たちと蜂起し力づくで自由の身となり、反乱軍のリーダー(将軍)となった。反乱軍はローマ各地の奴隷たちを吸収して大きく膨れ上がり、クラッスス(オリヴィエ)率いるローマの制圧軍と壮絶な闘いを繰り広げる。

大平原を馬で走るカーク・ダグラスたちは、古代劇よりも西部劇の趣が強い。しかし、いまなら、大軍のようすはCG処理されるのだろうが、この映画の戦闘シーンは、特殊撮影も用いながら実に多くの生身の人間をエキストラとして使って撮影している。なので、カラー画面であることも加わり実に迫力がある。見るに耐えうるスペクタクルである。

泣く子も黙る名優ローレンス・オリヴィエや、怪優チャールズ・ロートンなど、英国の舞台俳優の演技も見ものである。

前年の1959年に公開されたウィリアム・ワイラー監督の「ベン・ハー」は大迫力映画だったが、騎馬戦車レースの迫力シーン以外は、宗教色が濃くて後半は退屈だった。一方、「スパルタカス」は最後まで娯楽性があって楽しめた。何より、本作は「ベンハー」より19分も上映時間が短いことは特筆すべきであろう。それでも、長かったー。