遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

衆院解散記者会見を聞いて

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安倍首相が衆議院解散関連記者会見で、2年間のアベノミクスの成功について大見得を切っていたが、騙されてはなりませぬ。

円安は喜ぶべきなのか
日本は資源国ではないので、天然資源(原油天然ガス・鉱物)や農産物などを輸入に頼っている。なので、円安は歓迎できない。例えば、いま原油価格は値を下げているにもかかわらず、円安なのでガソリン価格への転嫁はゆっくりとしたまま。つまり、円安はわが国の家計にあまりメリットはない。相対的に、円安は国民経済にプラスであると言い難い。

雇用は上向いたか
雇用率は「底を打った」結果、上向いているだけではないのか。高校の新卒の就職率は上がっているだろうが、潜在的に働きたい層にまで雇用は及んでいないのでないか。
たとえば、子どもを保育所などに預けられなくて(待機児童数2万人)、働きに出ることができない主婦層は、雇用が上向いているとは実感できていないはず。

賃金は正職だけがもらっているわけではない
賃金も、今春闘でベアがあったというが、一部上場の正規職員は、全労働者の20%に過ぎない。また、春闘の恩恵を受ける労働者がどれだけいるのか。一部のエリートだけに賃上げがあっても、全体をあらわしていない。賃金が上がっていないので、デフレ脱却だといわれても、大多数の国民は「何それ?」とピンとこないのである。経団連に賃上げをお願いすることがアベノミクスって…茶番だ。

税金の無駄遣いを止めよ
税金の「使い方」のチェックをしっかりせよ。最近のニュースだが、2013年度の会計検査院報告は「税金の使い道に問題ありと判断したのは595件で金額は約2831億円に上った。」としている。お上のお上によるお上のための税金無駄使い調査でさえ、2800億円の無駄使いを指摘されている。民間に検査を委託すれば、もっと低いコストで大きな無駄を洗い出してくれるだろう。2014年度は総選挙費用の無駄700億円を指摘せよ。

不公平税制をなんとかしろ
バブルの後処理と称して、法人税を払っていないメガバンク。百歩譲って、バブルの後処理は認めてやっても、業績を回復すれば、払っていなかった税金を少しでも上乗せしろと言いたい。それから、国内で事業をしていないからと税金を免除されている企業もある。どこがどれだけ税金を払っているのか、払っていないのならなぜなのか、国税庁はわかりやすく開示しなさい。個人商店や個人は、いろいろあるだろうから、そこはスルーしますが。

財政破たんの前に
税金の無駄使いや、不公平税制を何とかして、財政破綻への転落を食い止めよ。経済が上向いてさまざまな税金の増収が実現され、財政赤字はそのうち(2030年?)解消されるというならそのシナリオを示せ。金利は推移するだろうから、何種類かの予想金利と、借金(赤字国債)の残高(発行・償還)推移、税収見込みを財務省は判り易く示せ。家計金融資産(現在1600兆円)は、銀行預金などを経由して国債(残高1000兆円)を買い支えているが、国債残高が個人資産を超えてしまうとどういうことになるのか、この選挙中に示すべきである。次の選挙までには、大変なことになる。

結論
安倍がリーダーであろうがなかろうが、アベノミクスがあろうがなかろうが、財政破綻への構造的な仕組みや現象は、政権を担当していた2年くらいでは何ともならなかった。なので、来たるべき総選挙で「アベノミクスを売り」にするのは詐欺行為である。ペテンである。そもそもこの「負のスパイラル構造」を造った下手人は、自由民主党である。盗人猛々しいとは、まさにあの解散記者会見のことである。
騙されてはなりませぬぞ、若い衆。