遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

バーン・アフター・リーディング/コーエン兄弟

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監督・脚本・製作
出演者
日本公開 2009年4月24日
上映時間 96分

コーエン兄弟の監督作品のご紹介。タイトルの「バーン・アフター・リーディング」とは、秘密の命令書に必ず頭書される注意書き「読後焼却のこと」の意。

ジョン・マルコヴィッチは、アルコール依存を理由にCIAでの要職を解かれ、それを機に退職する。その腹いせに、自伝を書いてCIA批判をしようとしていた。

マルコヴィッチの妻で医師のティルダ・スウィントンは、元財務省の保安官だったジョージ・クルーニーと不倫中。妻は、職を失ったマルコヴィッチとの離婚訴訟を優位に進めようと夫のPCから資産情報などを秘密裏に取得する。そのデータをコピーしたCDを、妻の弁護士の秘書がフィットネスジムのロッカールームに落としてしまう。

そのCDを取得したフィットネスジムのインストラクターのブラッド・ピットフランシス・マクドーマンドは、そのCDの内容をPCで確認する。そして、このデータは国家機密に相当する重要データだと思い、マルコヴィッチをゆすって一攫千金を夢見る。

シリアスなストーリーのようだが、言ってみればパティージョークのような取るに足らない内容のドタバタコメディ。くだらない男女ばかりが出てきて、くだらないことばかり考えてくだらない行為に走る。観客のためになることといえば、こんなくだらない人間にはならないようにしようと誓うことくらいか。

これはコーエン兄弟の書下ろしの脚本を映画化したもの。立派な地位や職業の社会人も、一皮むけばこの程度ですよと、アメリカ人の典型を登場させて笑いものにして、全米で大ヒットさせた。全米の観客は、映画館で「自分たち」を見て大笑いしたのである。それこそが大人のユーモアでもある。

まじめな私も、愉しめた作品であった。