遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

白熊/フランソワ・ポンポン

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いま東京の国立新美術館ではオルセー美術館展が開催中。(『オルセー美術館印象派の誕生』国立新美術館 7/9-10/20 http://orsay2014.jp/ )
この展覧会は残念ながら地方巡回なしの東京だけの展覧会。

その紹介TV特番を見ていて、開催中の「オルセー美術館展」作品ではないが、フランソワ・ポンポンの「白熊」と遭遇。

フランソワ・ポンポン(Francois Pompon, 1855年 - 1933年)は、フランス出身の彫刻家で、ロダンの助手を長らく勤めていて、ロダンの死後60代初めに独立。そして1922年、67歳にしてこの代表作の「白熊」を発表することとなる。

本物のシロクマと等身大くらいの大きな大理石彫刻で、上品なデフォルメがなされていて、92年前の作品なのにいまだにモダンである。白熊の生命感が圧倒的で、ほかに何の説明も要らない名作である。67歳で代表作品を作り上げるのだから、素晴らしいポンポン。ロダン師匠より後世のギャラリーを癒してくれている。

不覚にも私はオルセー美術館に行ったのに、ポンポンのシロクマを見た覚えが全くない。たぶん「白熊」がいたあの空間に足を踏み入れていないのだろう。

北極海のシロクマは、温暖化で海の氷が張る期間が短縮された影響で、餌となるアザラシなどの狩りが困難になり絶滅危惧種になっている。何とかこの先も、あの愛らしいシロクマの赤ちゃんたちが次々と生まれてくることを願わずにはいられない。

北極海のシロクマは絶滅危惧種でも、オルセーのポンポンの「白熊」はずっとあの広場で私たちを待っている。

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