遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

30歳、男、趣味クラシックギター

イメージ 1

朝出勤したら、私の周辺男が私のデスクにやってきて、退職辞令が出ているからすぐ見ろという。
えー、誰が辞めたん?、と人事のPC掲示板を見ると、私の元部下の辞令だった。

夏ごろに退職したいと相談を受けていて、辞める決心をしたとメールももらっていたので、
おー、実は知ってたんや、という会話になった。

一旦、辞めるなと引き留めたのだが、でも彼の幸せは他所(よそ)にあるかもしれないなという思いから、その後は少し距離を置いていた。希望して異動を願い出て、蹉跌を感じたようだが、また元の職種に帰れる実力者だったのに、惜しい気もする。

新しい大阪フェスティバルホールが竣工したらコンサートに行こうと言ったままになっている。彼は大学のサークルでクラシックギターをやっていたらしいが、オーケストラの演奏会には行くチャンスがなかったと言う。いい演奏会に行けばアドレナリンが元気づけてくれたかもしれないと、少し悔やまれる。

私たちは親子か、年の離れた兄弟のように、いやそれ以上に気が合った。一方的に私が好きだったのかもしれないが、彼との会話はことのほか楽しかった。

人付き合いは少し苦手だけど、私とはちがって落ち着きのある聡明な男なので、新しい世界で頑張れるだろう。落ち着いたらまた食事に行きましょうと言ってきたから、それまで楽しみに待っていることにする。来週から、新しい職場なのだろうか、とにかく元気でいてほしいと願うばかりである。