遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ヤマメと田中マー君

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映画「リバー・ランズ・スルー・イット」で、主人公を演じたブラッド・ピット大自然の中でやっていた釣りは、フライ・フィッシング。水に浮くラインとフライ(虫の形状を模した疑似餌針)を川に流して、魚を釣り上げるゲームである。

フライ・フィッシングは、釣りそのものを楽しむほかに、フライを自分で作る楽しみや、清流の中に身を置いて自然を満喫するという楽しみがある。熊と蛇が恐い私は、そういう自然に入っていけないのだが、いつか独りで渓流に入り、軽いタックルで、ヤマメやイワナをフライで釣ってみたいと思っている。
 
ヤマメは、多くが生まれた川をはなれて海へ下っていく。生まれつきエリートのヤマメは、生まれた川で捕食ができるので海に下る必要がない(河川型)。しかし、多くの落ちこぼれたちが海(大きな湖)にエサを求めて大きくたくましくなって「サクラマス」となって生まれた川に帰ってくる(降海型、湖沼型)。
 
ヤマメは、30㎝位の体調なのに比べて、エサが豊富なところから帰ってきたサクラマスは70㎝位にまで大きくなり、繁殖力もサクラマスがダントツに強い。かつての落ちこぼれヤマメが、仕事のできる立派な大人になって帰ってきた姿がサクラマスなのである。

今季開幕から12連勝中で無失点連続イニング数を40として稲尾越えをした楽天田中将大マー君)。彼は伊丹の出身で、高校はなぜか北海道。野球王国の関西の高校に入らずに、北海道へ「都落ち」したのであろうか。しかし、高校で花を咲かせて、今では球界を代表するピッチャーに成長した。
 
ヤマメは、楕円形のパーマークが特徴的な、きれいな水に棲む美しい高貴な印象の渓流魚である。
しかし、雑魚な私は、大器晩成型の優れた人を見ると、ヤマメとサクラマスの複雑な関係を思い浮かべてしまうのである。