遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

日本一短い「母」への手紙

イメージ 1

日本一短い「母」への手紙 一筆啓上 (角川文庫)


「るり姉」を読んでいて、「日本一短い「母」への手紙」を思い出した。
以下、2007年の記事を再掲。



     お母さん、
     雪の降る夜に私を生んで下さってありがとう。
     もうすぐ雪ですね。(大阪51歳男性)


この手紙でこの1冊ははじまる。
今は大阪に住む男性が北国の母親に宛てた手紙だろうか、
胸が熱くなる。

夏によく訪れる北陸、途中丸岡を通りすぎるたびに、
この1冊を思い浮かべる。
平成5年に福井県丸岡町が公募した手紙文のコンクール、
第一回は、日本一短い「母」への手紙、であった。

審査員は、黒岩重吾俵万智、時実新子、中村梅之助、森浩一。



     桔梗がポンと音をたてて咲きました。
     日傘をさした母さんを思い出しました。(京都65歳男性)



     おかあさんのおならをした後の
     「どうもあらへん」という言葉が
     私の今の支えです。(大阪30歳女性)


「どうもあらへん」という関西言葉は、Don't Worry という意味だけど、
何時でも何処ででも通じる響きに、元気が出る。



     若い日あなたに死ねと言った、
     あの日のわたしを殺したい。(岩手32歳男性)


     心配御無用。ちゃんと食べてるよ。
     レシートを入れとくから 見てチョーダイ。(千葉19歳女性)


     キュッと髪を結ぶ。真っ白なシャツを着る。
     そして、あなたを想う。(茨城24歳女性)


     大空襲の折、火の粉を素手で払ってくれた母さん。
     いま日本に戦争はありません。(大阪61歳女性)


     かあさんの「もう、来なくていいよ」を聞くために、
     又逢いにいくんだよ。(熊本29歳男性)


そして、


     あの人と幸せでしょうか、お母さん。
     父さんは、無口を通し逝きました。(長野45歳女性)


絶句。

大河小説のごときスケールである。