遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

祝ノーベル賞受賞/山中伸弥

イメージ 1

ノーベル賞に最も近いところに立っていた山中伸弥さんが、ノーベル医学・生理学賞を受賞された。

今日のニュースで知ったのだが、山中さんは意外にも学生時代から体育会系だったそうで、
高校で柔道、大学でラグビーに青春をかけていた学生だったそうだ。
しかし、臨床医時代には、手術が下手で、20分で終るはずの手術が2時間もかかってしまい、
「邪魔中(ジャマナカ)」と呼ばれていたと、高校生向けの講演で告白しておられた。

山中さんを扱ったドキュメンタリー番組で、臨床医時代に難病で苦しみ亡くなっていく患者さんたちを目にし、
彼らを救ってやることができないものかという強い思いが、研究を支えていると言っていたのを思い出す。
私はその彼の言葉を聞いて、本物の医師だなと思ったことを憶えている。

その後、山中さんは臨床医をあきらめ、研究医になったが、日本での研究環境に挫折寸前になったとか。
実験用のマウスを自分で育てなければならないほど、研究費には困窮していたようだ。
無用の化け物みたいなダムや原発施設に金は流れても、人の命を救うための研究費は、
実にお粗末なお国なのである。

大阪人持ち前の明るさと、スポーツで培った体力と忍耐が、逆境にあってもめげなっかたのだろう。
彼の人柄に共感し、一肌脱いでくれた周囲の人たちの協力もあって、地道な研究を続けてこられたと、
今日の記者会見で、真摯にお話しをされていた。
早すぎる受賞だと思うが、母親にそれを報告できるのが何よりだったとも。

iPS細胞は、induced Pluripotent Stem cellの頭文字で、
山中さん本人が名付けた、ということも今日始めて知った。
「i」だけが小文字なのは、はやりの米アップル社の携帯音楽プレーヤー「iPod」にあやかって、
広く普及して欲しいとの遊び心だそうで、しなやかな感性である。

まだ50歳とお若いのが、わが国の過去のノーベル賞受賞者と違ったところ。
山中さんの、朗らかで勇気ある発想と、それへむけての地道な努力がクローズアップされると、
若い人たちへの輝く希望の星になるはずである。

ノーベル賞受賞おめでとうございます。