遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ドヴォルザーク:チェロ協奏曲/ロストロポーヴィチ

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巨人二人の競演、ドヴォルザークのチェロ協奏曲。

グラモフォンの創立111周年記念ボックスに入っていなければ、

自宅で聴くことのなかった作品かもしれない。


チェロ演奏が、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(1927-2007)、

カラヤン(1908-1989)が指揮するベルリンフィルとの共演なので、

ソリスト・指揮者・オーケストラの三大巨人の競演と言い換えてもいい。


ドボルザークのオーケストラの牧歌的な響きは、なんだか「新世界より」の雰囲気がする。

当然のことだが、ロストロポーヴィチのチェロは何の引っ掛かりも違和感もなく、

心底うっとりとする。


録音は1969年、ロストロポーヴィチは42歳、カラヤンが61歳。

威厳ある風格漂うジャケット写真からも明らかなように、

ロストロポーヴィチは堂々たる演奏である。

わき役に徹するカラヤンベルリンフィルが、

チェロ奏者を包むように珠玉の演奏を繰り広げてもくれる。


他の演奏家によるドヴォルザークのチェロ協奏曲を私は知らないが、

これは最高水準の1枚だと断言できよう。


同じCDに挿入されている、チャイコフスキーロココ風の主題による変奏曲も、

素晴らしい楽曲で、これまた何度聴いてもうっとりする。


演奏家と名曲・名作曲家に遭遇することの幸せ、

この1枚で体現できる。