あのCMのバックに流れていた「いまのキミはピカピカに光って」を歌っていたのが、斉藤哲夫。
70年代前半、自作の「悩み多き者よ」「されど私の人生」「バイバイグッドバイサラバイ」などで、
斉藤哲夫は、シンガーソングライターの地位を築いていた。
なかでも私は「されど私の人生」が大好きだった。
自分の声の特性を生かした曲作りが成功していて、
ゆったりとしたメロディーを、伸びのある声で歌い上げた名作である。
タイトルと歌詞の内容も個性的で、歌いだしは「もうどうでもいいのさ」と言いながら、
やるせなさではなく、「再生」の意思が伝わってくるのである。
その高揚感が、二十歳のころの私には新鮮だったことを憶えている。