遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

風貌:梅原龍三郎/土門拳

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                   「風貌」より 梅原龍三郎  撮影:土門拳  1941年
 
表現手法がまったく違うから当然なんだけど、
楽家に比べると、画家は話下手で朴訥な人が多いような気がする。
もの静かで淡々とした人が多い。
 
巨匠中川一政高山辰雄は、自然に会話ができ取っ付きやすい感じがするが、
大御所横山大観東山魁夷なんかは近寄り難い雰囲気が漂う、
洋画の大家、梅原龍三郎もおっかなそうである。
 
その梅原龍三郎を撮った名作が、土門拳のこの1枚のポートレートである。
ただでさえおっかなそうな画家を、じらしてじらしてシャッターチャンスを待った後、
パシャット撮ったのがこの1枚。
 
土門は、雪の室生寺を撮りたくて、冬の奈良は室生に長逗留したという。
室生の里にそうそう雪は降らないのに、粘りに粘ったのである。
その苦労に比べれば、梅原をじらせて怒らせていいポートレートをものにするのはた易いか。
 
梅原さん、口が一文字になって、大家らしい威厳のある肖像である。
怒っておりますな、たぶん。