に続くトム・ロブ・スミス作のレオ・シリーズ3部作の完結篇「エージェント6」。
時は1950年、ソビエトの国家保安省の捜査官レオは、
視察の案内役を務めたことがきっかけで、
一方的な思いを持つ美人教師ライーサと偶然に結ばれることとなる。
このあたりの物語を吹く風は、私を夢中にさせ、作者の並々ならぬ手腕を感じ、
を読んでいるような錯覚にとらわれた。
ライーサは当然に、このシリーズの第1作から登場する、レオの愛すべき妻である。
ニューヨークは国連本部での少年少女コーラス・コンサートを成功裏に終わらせる。
しかし、ニューヨークに同行した養女にして愛娘であるゾーヤとエレナも絡んで、
ライーサの身に、FBI捜査官イェーツが仕組んだ嵐のような大事件が降りかかる。
さらに時は流れ、1980年。場所はアフガニスタン。
レオはアヘンに蝕まれた体に鞭打って、アフガンで秘密警察の教官の職に就いた。
アヘンに溺れて教壇に立たない教師のもとを生徒は離れていき、
ナラという美しい生徒がたった一人残った。
レオは、この教え子と共に、残された僅かな時間を何とか駆使して、ニューヨークへ行こうとする。
1950年から30年にわたるレオと、その家族の大河小説である。
また、レオを取り巻く人間たちとその家族を描いた大河小説である。
主人公レオの愛妻と養女2人に向けた、まるで神のような無償の愛に心打たれるのである。
「チャイルド44」「グラーグ57」「エージェント6」、
順序を守って一気に読まれることをおすすめする。
トム・ロブ・スミスの次なるシリーズが待ち遠しい。