井上の戯作も蜷川の演出も初体験、3時間半を越す大作を楽しんだ。
「たいこどんどん」 作 井上ひさし 演出 蜷川幸雄 出演 中村橋之助、古田新太、鈴木京香、宮本裕子、大石継太、大門伍朗、 市川夏江、大林素子、飯田邦博、塚本幸男、立石凉子、六平直政、瑳川哲朗 江戸日本橋の薬種問屋の若旦那・清之助と、忠実なたいこもち桃八が、ひょんなことから漂流して、拾われた船に連れて行かれたのが東北・釜石。各地を転々とする九年の珍道中がここから始まる。二人には思いもかけないような災難が次から次へと降りかかる。流れ流されたあげくようやく「江戸」に戻ってくると・・・。 若旦那にどんなに裏切られても無償の奉仕を続ける幇間・桃八。社会は激変していっても根本的なところで「なにも変わっちゃいない」日本への静かな怒りや、時代に不意打ちにされつづける大衆への提言。歌や、踊り、お座敷芸など笑いがあふれるエンタテインメントの底には、庶民に向けられる作者の視線が2011 年にもまた同じ強さで光り続けます。
この「たいこどんどん」の古田新太のセリフの多さには舌を巻く、それをまくし立てる。
橋之助の倍はあろうかというセリフの量で、
幇間(たいこもち)の役なので、言葉使いが身上なのだが、
三味線を弾き富本節を唄う、芸の広さまで見せ付けてくれる。
その他の役者は、ひとり何役もこなしていて、これまた衣装やカツラがころころ変わる。
一部ミュージカル仕立てになっていて、出演者たちは何曲も歌わなくてはならない、
さぞかし稽古は大変だったろうな、
それにしてもナマで4時間近い舞台を作り上げるという作業は、大変なことだ。
井上さんの原作なので、蜷川演出でも肩の凝らない、
笑いもたくさんの楽しい舞台であった。