この吹奏楽部で、全国大会の出場メンバーをセレクトする方法。
たとえば、クラリネットの奏者8人から4人を選ぶとする。
誰が演奏しているのかわからないようにして、クラリネット以外の他のパートの部員たちが、
純粋に8人の演奏だけを聴いて、挙手で投票して多数決で上位4人を選び、
出場メンバーとするのである。
だれだれ君は実力者だからという先入観が邪魔をせず、
来年は出場機会がない3年生だからという温情も働かなくて、
この演奏者を伏せて実施するセレクションは実にフェアで、
厳しいけれど誰もが納得する方法だなぁと、感心した覚えがある。
さて、今日ご紹介の1枚は、
オーケストラの楽器ごとの首席奏者はどのように決まるのかよく知らないが、
このアルバムは、1974年と1975年の録音当時の、
ウィーンフィルのそれぞれの首席奏者が独奏を担当している。
指揮は、カール・ベーム。
オリジナルアルバムは、この二つの楽器をソロとする協奏曲のカップリングだったようで、
フルートも加えてCD化されたようである。
何を付け加えられても、何の問題もないアルバムに仕上がっている。
今年の夏、私はこの1枚をよく聴いて過ごしていて、
加えて、3つの楽器の独奏楽器の演奏は、実にクールな演奏で、
初めて耳にしたファゴットの協奏曲も、コロコロと小気味いい演奏で、
苔から玉のように沁み出す清流のごとき心地よさである。
言うまでもないことだが、独奏者を支えるウィーンフィルの弦のしなやかさに、
心身ともにリラックスしていただけると思う。