京都は嵯峨野の、化野(あだしの)念仏寺。
毎年地蔵盆の時期(8月23日・24日)に、
境内の西院(賽)の河原にまつられている数千体の無縁仏に、
ろうそくを灯し、供養します。
この宗教行事が、世にも有名な化野念仏寺の千灯供養です。
空海がその遺骸を埋葬し、後世の人たちが石仏や石塔を整然と並べ、
1000年以上の長きにわたり、無縁仏の供養が続けられています。
人は誰も、その敬虔な灯りのゆらぎに胸を打たれます。
東山魁夷もそのひとりだったのでしょう、京都の人の営みを描いた連作のなかで、
この美しく静かな1000年の祈りを、作品に仕上げました。
題して「千燈会」、ここでも東山ブルーが鮮やかな発色を見せています。
伝統的な日本画ではありますが、モダンな諧調も感じられる作品であります。
今年は、ひときわ千灯供養の灯りが目に沁みる気がする晩夏であります、
合掌。