遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

お母さんはわたしのことすきでしたか

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今日、母の日の天声人語

阪神大震災で母をなくした女の子の手記が紹介されている。

女の子は母が通った小学校を訪ね、写真を見せてもらったという。

〈こどものときも、おとなのときも、やさしいかおやったんやね。

お母さんは、わたしのことをどう思っていますか。わたしのことすきでしたか……

もう、きくこともできません〉

阪神大震災で親を亡くした小3の記である。


お行儀悪くこの天声人語を読みながら朝食していたもので、

目の前のうちの奥さんに、涙を悟られないようにするのに大変苦労した。

優しいお顔のお母さんだったようで、ここでもう涙が止まらない。


「わたしのことすきでしたか……」

好きに決まってますよ~。


暦に気遣いはなく、こどもの日が巡り、母の日が来た。

ゆがんだ洗濯機が、泥まみれのエプロンや弁当箱が、感謝を伝えたい人の不在を告げる。

闘病の末でも未練は尽きないのに、日常から突然消えた母への追慕はいかほどか。

一方に、去年までの「ありがとう」を聞けぬ親がいる。何であれ、肉親を失う痛切に違いはない。