遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

世界最速のインディアン/ロジャー・ドナルドソン

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監督・脚本 ロジャー・ドナルドソン
出演者
アンソニー・ホプキンス
ダイアン・ラッド
アーロン・ジェームズ・マーフィ
音楽 J・ピーター・ロビンソン
上映時間 127分


子どもの頃からクルマが好きで、もう50年近く前のことになるが、

図鑑に載っていた、とにかくスピードの出る外国製の流線型のクルマに憧れていた。

その当時から、世界最高速を樹立できる場所として、

米国はユタ州の干上がった塩湖跡に広がる真っ白な塩の平原、

ボンネビル・ソルトフラッツがことのほか有名であった。


この映画のアンソニー・ホプキンスが演じる主人公バート・マンローは、

ニュージーランドの自宅で、古いオートバイを改造して、

ユタのボンネビル・ソルトフラッツに愛車を持ち込み、世界記録を打ち立てる。

この実話、時は1960年代、マンローは67歳の設定であった。


封切り時、バイクが疾走するこの作品のCM予告編をテレビで見て、

食指を動かされていたので、レンタルDVDを目にして迷わず借りることにした。


タイトルの「インディアン」とは、米国製のオートバイのことで、

この映画のもうひとりの主人公といってもいい存在である。

主人公マンローは、古いインディアンをチューン・アップしたエンジニアであり、

同時に、赤いカウルを装着したインディアンに乗るライダー!でもあった。


ニュージーランドで旅費を工面して、主人公と愛車インディアンは、

船で米国に渡り、ユタ州まで何とかたどり着き、記録会にエントリーする。

その道中たるや、絵に描いたようなロードムービーなのだが、

ニュージーランドアメリカの合作映画らしく、

全篇ほのぼのとした温かい雰囲気に包まれた作品である。


強烈なハンニバルのイメージが定着している主演のアンソニー・ホプキンスは、

好々爺を演じていて、違和感も有るのだが、

隣に住む少年や彼を支える人たちが、その違和感を払拭してくれる。


貧しいからこそ助け合う古きよき時代の麗しい人々を描いていて、

家族そろって鑑賞に堪えられる、清々しい作品に仕上がっている。