子どもの頃からクルマが好きで、もう50年近く前のことになるが、
図鑑に載っていた、とにかくスピードの出る外国製の流線型のクルマに憧れていた。
その当時から、世界最高速を樹立できる場所として、
米国はユタ州の干上がった塩湖跡に広がる真っ白な塩の平原、
ボンネビル・ソルトフラッツがことのほか有名であった。
この映画のアンソニー・ホプキンスが演じる主人公バート・マンローは、
ニュージーランドの自宅で、古いオートバイを改造して、
ユタのボンネビル・ソルトフラッツに愛車を持ち込み、世界記録を打ち立てる。
この実話、時は1960年代、マンローは67歳の設定であった。
封切り時、バイクが疾走するこの作品のCM予告編をテレビで見て、
食指を動かされていたので、レンタルDVDを目にして迷わず借りることにした。
タイトルの「インディアン」とは、米国製のオートバイのことで、
この映画のもうひとりの主人公といってもいい存在である。
主人公マンローは、古いインディアンをチューン・アップしたエンジニアであり、
同時に、赤いカウルを装着したインディアンに乗るライダー!でもあった。
ニュージーランドで旅費を工面して、主人公と愛車インディアンは、
船で米国に渡り、ユタ州まで何とかたどり着き、記録会にエントリーする。
その道中たるや、絵に描いたようなロードムービーなのだが、
全篇ほのぼのとした温かい雰囲気に包まれた作品である。
好々爺を演じていて、違和感も有るのだが、
隣に住む少年や彼を支える人たちが、その違和感を払拭してくれる。
貧しいからこそ助け合う古きよき時代の麗しい人々を描いていて、
家族そろって鑑賞に堪えられる、清々しい作品に仕上がっている。