遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

素晴らしき哉、人生!/フランク・キャプラ

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素晴らしき哉、人生!

監督 フランク・キャプラ
製作 リバティ・フィルムズ、フランク・キャプラ
脚本
フランク・キャプラ
フランセス・グッドリッチ
アルバートハケット
出演者
ジェームズ・ステュアート
ドナ・リード
ライオネル・バリモア
ヘンリー・トラヴァース


アクターズ・スタジオに映画関係者を招いてのインタビュー番組、

「○○自らを語る」は、私の大好きな番組である。

タイトルの○○には、そのときのゲストの名前が入る。

今はレギュラー番組ではなくなったが、

正月には「キャメロン・ディアス自らを語る」が放送され、楽しんだ。

彼女に限らず、スターや監督の素の人間性を見るのは楽しくて、

さすがにみな人格者で魅力いっぱいの人たちなのである。


かなり以前に見た「スティーヴン・スピルバーグ自らを語る」は、

大ヒット作品を両手に抱えるゲストだけに、

エピソードには事欠かなくて、番組は2回に分けて放送された。

そのインタビューの中で、スピルバーグは、次のようなことを語っていた。

「新作を撮り始める前に、必ず見返す映画が有る。

黒澤明の『七人の侍』と、デビッド・リーンの『アラビアのロレンス』と、


この3作品は、いつも何らかのお手本になる素晴らしい作品なんだ」


私はようやくキャプラの「素晴らしき哉、人生! 」をレンタルDVDで観た。

なるほど、スピルバーグのお気に入りだとうなずけた、

私は冒頭の5分でこの映画に、うきうき気分で入り込んでしまっていた。


地上で自殺を決行するに違いない哀れな主人公(ジェームズ・ステュアート)を助けるために、

天上から天使が降りていって、何とかしようとする。

ただ一度のつまづき(本人のミスではない)で、事は負のスパイラルに陥り、

ジェームズ・ステュアートは自殺を決意するまでに、身も心もボロボロになる。

しかし、天からの使者のおかげで、また、周辺の人たちの励ましで、

主人公は「素晴らしき哉、人生! 」の境地に立ち戻るというお話なのである。


お話は実に単純明快で、明るくてユーモア溢れるファンタジーであり、

ジェームズ・ステュアートをはじめ、彼の家族も周りの人物もみな実に善人で、

何とも楽しい作品に仕上がっている。


幸せを他人と分かち合うのはなかなか難しいことだと思うのだが、

苦しみや悩みは、他人がやわらげてくれる事は、

私たちは身を持って感じるところではないだろうか。

人生には、苦しみの方が楽しみより少し多いのかもしれない。

この映画の主人公は、善人なので、苦しみをやわらげてくれる人が大勢いるのだが、

しかし、苦しみを分かち合ってくれるお人は、たった一人でも十分なのである、

そして、そういう人は誰にでも必ず一人はいてくれるものなのである。


万人に元気をくれる素晴らしい作品であった、素晴らしき哉、人生!