遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ヒラギノ/日本語フォント

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本日の夕刊によると、高速道路の案内標識の字体が変わるとのこと。

今後は「ヒラギノ」というフォントのゴシック体が使われる。

このヒラギノは、iPadに採用されたフォントで、

さらに書籍や雑誌、テレビ番組のテロップなどに広く使われているという。

このヒラギノを作って売っているのが、京都の大日本スクリーン製造という会社。


実はちょうど20年前、京都へ転勤になり、仕事上お世話になっていたお得意先が、

この大日本スクリーンという企業だった。

この企業の社員さん何人かと、仕事上の交流もあったのだが、

どなたとも気持ちよく接することが出来て、いつもいい印象の会社であった。


このヒラギノは、アップルにも「お買い上げ」になったことで、

その定評たるや大変なものだと思う。

しかし、今日までこの字体のことを知らなかったので、

ましてや、字体の発売元が私にとっては身近な企業だったので、

いつもはあまり会話のない夫婦二人の夕食事時の話題に上った。

うちの奥さんも少なからずこの会社のことは知っているので、

このフォントで、大日本スクリーンは潤っているのだろうか、

このスマートなフォント、作り上げるのにはさぞかし大変だったろうと、

会話は広がっていったのであった。


ヒラギノをデザインした会社は、字游工房という会社だそうである。

ひらがな、アルファベット、数字、記号はともかくも、

日本語は漢字のフォントを作るのが大変。

明朝・ゴシック・筆記体などの種類に分かれ、

デザインを考えひとつひとつ漢字のフォルムを作っていく過程は、

想像を絶する作業である。

苦労の甲斐あって、その洗練されたフォルムは、

なるほど日本標準として採用される資格があるものである。


私、高速道路で標識を見落としまごつくことが多いのだが、

フォントが変わればそんな鈍くさいことと決別できるような気がするのは、

気のせいだろうか。


ヒラギノは、京都市北区の地名である柊野(ひらぎの)に由来するネーミングである。