常用漢字が29年前に制定以来、始めての改定がなされ、
「岡」「熊」のほか、「茨」「栃」「埼」「梨」「阜」「奈」「阪」「媛」「鹿」の
都道府県名に使われる11字など196文字が追加されたという。
「埼」「梨」「阜」「阪」が今まで常用漢字でなかったというのはうなずけるが、
「岡」「熊」「奈」「鹿」などはよく目にするので、へーそうだったのと、不思議な感じ。
ただ、県名以外には、固有名詞で使われる程度なので、なるほどとも思う。
NHKニュースによると、三省堂からは50種類以上の辞書が発行されているのだそうだが、
今回の改訂で、すべて版を更新して、新しい辞書を発売するのだそうである。
語「彙」、憂「鬱」など、PCなどであっさり変換できたり読めるのだけど、
書けない文字が増えるのが、受験を迎える学生さんには「憂鬱」だろうなぁ。
ま、「語彙」が貧困な若者にはちょうどいい機会なのかもしれない。
一方、常用漢字から削除された中に「匁(もんめ)」がある。
「一文銭の目方(重量)」が一単位「文目」(3.75g)となり、
「匁」という漢字になったという。
真珠の国際取引単位は「もんめ(mom)」で、その重量ももちろん3.75gである。
5文字程度なら、わざわざ削除しなくてもいいものを…。
これも立派な文化なのだから、そっと残しておいてもいいだろうに、
誰も文句を言わないだろうにと思う。
私の子どもの頃は、尺貫法がまだまだ根付いていて、
「100匁」の牛肉や、酢や油や醤油を「3合」壜で買いに行かされたことを、
よくおぼえている。
小学校の通学用のズック靴(布製のシューズ)の大きさは、「10文3分」であった。
一文銭が重さの単位だったように、足袋などの大きさも一文銭の直径を基準に「文」数であらわした。
♪ 目方で男が売れるなら こんな苦労も
こんな苦労も かけまいに かけまいに
ここは山本直純のメロディーも大好きな箇所で、
殊に、この部分の歌詞は星野さんの傑作だと思う。
私は「目方」すらない男なのだが、このフレーズを頭の中でよく口ずさんで、
ある種開き直って、嘯(うそぶ)いて飄々と(常用漢字かな?)生きている。