遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

依頼人/ジョエル・シューマッカー

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依頼人 The Client  1994年(米)  

監督: ジョエル・シューマッカー
脚本: アキバ・ゴールズマン/ロバート・ゲッチェルジョン・グリシャム(原作)
出演: スーザン・サランドントミー・リー・ジョーンズブラッド・レンフロ


ケーブルTVで、映画「依頼人」を鑑賞、何度目かの鑑賞である。


少し脱線話。

週刊朝日で、あの村木厚子さんのインタビュー記事で、

拘留中には150冊の本を読んだという箇所があった。

 ──起訴後は一度も取り調べをされることはなく、保釈までの時間を
  150冊もの本を読んで過ごした。
    勾留中に村木氏がつけていた日記にはたびたび本の感想が書かれている。

  〈7月3日 「サマータイム・ブルース」 サラ・パレツキー ハヤカワ文庫 
    V・I・ウォーショースキー シリーズ第1作 (中略)

   「あなたが何をしたって、あるいはあなたに何の罪もなくたって、生きていれば、
  多くのことが降りかかってくるわ。だけど、それらの出来事をどういう形で人生
  の一部に加えるかはあなたが決めること」 
  
    主人公が、兄を亡くし冷たい家族のなかでキ然とがんばる少女ジルに言うことば〉



女探偵ヴィク・ウォーショースキーシリーズの第1弾で、かつて私も面白く読んだが、

鉄の女ウォーショースキーには、村木さんならずとも、女性は勇気付けられると思う。

ミステリーを読んで、力強く生きていこう、、、これは私の今思いついたセリフ。

スーチーさんはミステリは読まなかったのかな、いや読んでたはず。


さて「依頼人」は、いわずと知れた原作がジョン・グリシャムの同名小説で、これも原作はとても面白かった。

映画は、主人公の女弁護士役をスーザン・サランドンが演じる、

で、ポケットにあったクシャ1ドル札で彼女を雇う依頼人が、まだ年端も行かない少年。

演じるは、5000人もの応募があったオーディションで1等賞を取った、ブラッド・レンフロー。

森で隠れタバコをしているときに、知ってしまった国会議員の行方不明事件の真相。

その真相のために、少年はマフィアに狙われることになる。

そして、来たる知事選に有利な大きな新しい経歴が必要な検事役に、トミー・リー・ジョーンズ

彼こそ、知事選勝利のために、マフィア以上に少年の知る大事件の真相が欲しいのであった。


実の子ども二人は、離婚した夫が養育していて、離婚してから一念発起で弁護士になったという、

アルコール依存症の変り種弁護士サランドンは、百戦錬磨の検事やマフィアの攻勢や追跡から、

少年をことごとく保護し弁護する、見上げたプロ根性の持ち主。

弁護士としての仕事を超え、依頼人のために、

少年の母のように、トミー・リー・ジョーンズ検事やFBIに対峙する。


彼女も恵まれていないが、少年も、アルコール依存症の父親と離婚した母親と弟と、

貧しいトレーラー暮らしを余儀なくされている。

そしてマフィアには火を放たれて、少年の家族はその貧しいトレーラーさえ失う。

しかし、最後には弁護士サランドンが家族のために一肌脱いで、

幸せな人もうらやむエンディングとなる、それでよかよか。


ジョン・グリシャムの原作も大変おもしろく読んだが、

オペラ座の怪人」のジョエル・シューマッカーが、たぶん原作を壊すことなく、

少年と女弁護士の心の交流を、うまく仕上げている。

この翌年のオスカー女優スーザン・サランドン

この前年のオスカー助演男優のトミー・リー・ジョーンズ

そして、オーディションを勝ち抜いたブラッド・レンフロー少年、

この3人の存在感がとてもよろしい。

ミステリーを読んで、映画も鑑賞して、村木さんやスーチーさんのように力強く生きていこう。