遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

マスダール・シティーとIRENA

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NHKスペシャル「灼熱アジア ~砂漠の富の争奪戦~」を見て考えさせられる。


原油産出国のUAEは、石油やLPG(天然ガス)の埋蔵量は、

世界屈指の地域であり、当面の外貨稼ぎの主役であることに変わりはない。

しかし、化石燃料の次もしっかり見ている。

NHKスペシャルの番組サブタイトルの「砂漠の富」とは、

原油やLNGではなく、太陽や風のことなのである。


キーワードその1→マスダール・シティ

UAEは、アブダビに「マスダール・シティー」を現在建設中。

6.5平方km、人口5万人都市のエネルギー供給は、太陽や風でまかない、

二酸化炭素排出はゼロで、SF映画に出てくるような都市である。

↓近未来都市とはこのようなところを言うのだろう。(画像が完成予想図)
http://www.youtube.com/watch?gl=JP&hl=ja&v=F3Wtze716QY

で、どれくらい近未来かというと、なんと2015年に完成する都市なのだ。


キーワードその2→IRENA

2009年1月に設立された「IRENA(アイリーナ:国際再生可能エネルギー機関)」。

現在120カ国以上がこの機関に参加しており、

世界規模での再生可能エネルギーの利用促進と普及を目標としている。

対象としている再生可能エネルギーとは、

バイオエネルギー、地熱、海洋エネルギー、太陽エネルギー、水力発電風力発電の6つ。

どれもCO2を排出しない、クリーン・エネルギーだ。

CO2排出削減に各国が苦しんでいる一方で、

こういった試みが行われていることを、私は知らなかった。

そしてこの IRENAの本部がアブダビマスダール・シティーに置かれることになった。


UAEは、マスダール・シティーで、再生可能エネルギー技術を磨いて、

その技術を輸出しようという未来構想を持っている。

石油と砂漠しかない国の、先を見越した儲け主義だけど、

地球に優しい取り組みに感心した。

焼け付く砂漠に容赦なく降り注ぐ太陽光と、

それを受け止める太陽発電パネルのイメージCGを見て、なるほどなーと感心してしまった。

UAEだけでなく、中東や北アフリカでは太陽発電パネルを砂漠にずらりと並べられる。

もともと何もない砂漠にパネルを並べても、誰も文句は言わない。

そして、その無尽蔵に作り出される電気の買主は、天候不順なヨーロッパの各国となるのだろう。

でもヨーロッパも、クリーンエネルギーを作るための技術を売り、

電気として買い戻すのだから、経済効率は悪くない。


IRENAの本部を誘致し、マスダール計画を推進するのは、

アメリカで学業を修めた弱冠36歳のジャベルというエネルギー担当特使である。

さっさと石油に見切りをつけて、未来を見つめている。

地球をクリーンにしようという思いよりも、

自国を何とか生きながらえさせようという思いの方が強いのだけど、

何もやらないよりいい。若いけど、立派だ。


ドイツのメルケル首相もマスダールに出かけていってジャベルに会っている。

太陽電池パネルは、ドイツ製にしてね。日本製よりお安くしとくわ。」

などと売り込みしているように見えた。

また日本は出遅れたような気がする。
 
そうだ、ゴビ砂漠タクラマカン砂漠に、日本製のパネルをズラーと並べなければ…。

それから、かなりスケールダウンだけど、普天間基地をはじめ米軍基地や、

造りすぎた空港に並べてもいいかな。砂嵐はないし。