映画「炎のランナー」でもおなじみのセント・アンドリュースの海岸線。
その海岸線の起伏と海からの容赦のない風を組み合わせて、
自然をめいっぱい取り入れたセント・アンドリュースのリンクス・コースで、
第139回の全英オープンゴルフ選手権が開催されている。
梅雨の明けた猛暑の中、リンクスを駆けめぐる風を見ていると、
避暑に出かけたくなるような気持ちになってくる。
石川遼は、さきほど決勝ラウンドをスタートしていったが、
予選ラウンドで石川と一緒だったトム・ワトソンは、
昨日の18番ホールで最後のタップインバーディを決めて、
セント・アンドリュースに別れを告げた。
60歳になった今、もう二度と全英オープンで彼の雄姿は見られない。
昨日の最終ホールのグリーン上で、
「君のスイングはずっとそのままでいい。君はとても良いゴルファーだよ」
と声を掛けられたという石川は、ホールアウト後のインタビューで、
声を詰まらせ涙をこらえながら、そのワトソンの温かい言葉に感動していた。
石川は、ワトソンにねだって、
ワトソンが昨日まで使っていた手袋とボールを記念にもらったという、
もちろんサイン付きで。
石川遼にも、性格も技術もトム・ワトソンのような、
大きな選手になってもらいたいと願ってやまない。
いい先輩といいファンやギャラリーに、いい選手は育てられるとするならば、
石川遼は、日本が世界に誇れるプレーヤーに、いちばん近いところにいる。
とりあえずは、今年の全英オープンの残りのホールに全力を尽くして、
私たちを楽しませてほしい。