遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ぼくがんばったよ!/探査機はやぶさ

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わが国の宇宙科学研究所が打ち上げた探査機はやぶさが、
             7年の旅を終えてまもなく帰ってくる。

2003年の5月に打ち上げられ、(私はまったく覚えていない)
2005年11月に小惑星イトカワに30分間着陸。
その後、離陸したものの、その時点でさまざまなトラブルに見舞われていたはやぶさは、
満身創痍の状態で、発信信号を出せないまま広大な宇宙で行方不明。
しかし、太陽電池が太陽の方向を向いたときに、発信信号が傍受できるはずだと、
地上ではその信号傍受のために、あきらめることなく監視が続けられていたという。
2006年1月にその甲斐あって、小さな信号を傍受。
イトカワから1万3000km、地球から3億3000万kmの、
はるかかなたでの宇宙で満を持していたはやぶさを発見。
2007年4月にはやぶさは、地球帰還のための軌道修正がなされ、帰還の途についた。
そして明日、2010年6月13日にはやぶさは帰還する。

往路に2年6ヵ月、小惑星イトカワの付近に1年5ヵ月間の滞在、帰路に3年2ヵ月を要した。
当初計画を3年も超過する、7年を超える一大オデッセイであった。

はやぶさの打ち上げなどまったくおぼえていないし、
その後の数々のトラブルのことなどまったく知らなかったし、
帰還すると知った最近の、にわかはやぶさファンではあるが、
その広大なスケールに、文系の私はしばし現実から逃避できる爽快感を覚える。

機体は大気圏に入って燃え尽きるようであるが、
地球帰還カプセルがオーストラリア大陸に帰ってくる。
このカプセルは、直径40cm、質量17kgの「蓋付き中華鍋」形で、
うまくいけばパラシュートを使って回収されるようである。
さらにうまくいけば、カプセル内に小惑星イトカワの何らかの物質が取り込まれていて、
その物質が、無事持ち帰られて、宇宙誕生の秘密の研究に役立つようである。
わが国の航空宇宙科学史上、もっとも輝かしい一瞬を迎えることになるかもしれない、
無事カプセルが帰還されんことを祈る。

満身創痍になりながら、機能不全に陥らなかったのは、
幾重にも張り巡らされたリスク対応機能だったようで、
偶然も重なったのだろうが、からくもそのリカバリー機能が働いて、
はやぶさは、地球の周回軌道までたどり着いたようである。
これは、予算が乏しい宇宙科学研究所ならではの、
リスク回避のためのいろんなアイデアが功を奏した結果で、
予算が莫大ならば、人命に関係ない無人探査機は何回でも打ち上げられるので、
細かいリスク回避のための細工は、施さないそうなのである。

なるほどなるほど、予算が潤沢なら、「下手な鉄砲方式」で、
何発でも打ち上げればいいことなのだ。
しかし、そんなぶっきらぼうなプロジェクトには、ロマンも何もない、
里中満智子からの応援イラストなど絶対ないだろう。
 
この探査機はやぶさは、低予算で創意工夫に満ち満ちた、
ロマンあふれる好結果のプロジェクトであった。