遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

リスト:ピアノ・ソナタ・ロ短調/マルタ・アルゲリッチ

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1968年2月ロンドンで録音。アルゲリッチ26才の時の演奏。

若きアルゲリッチの熱き演奏に感服、

リストは女性がこの曲を演奏すると意識していただろうか、

と思わずにはいられない。


今年生誕200年がショパンシューマンなのだが、

リストはその翌年に生まれているので、来年が生誕200年になる。

この3人の天才が同時期に活躍していた当時のヨーロッパの音楽界とは、

どんなんだったろうと思わずにはいられない。


モーツァルト(1756年-1791年)がオーストリアで生まれて以降の50年あまりの間に、


メンデルスゾーン(1809年-1847年)、ショパン1810年-1849年)、

シューマン1810年-1856年)、リスト(1811年-1886年)などが、

ドイツ語圏に近い中欧で相次ぎ生まれている。


こんな時代がかつてあっただろうか。

モーツァルトベートーヴェンに刺激された時代だったのだろうか。


さて、リストのピアノソナタロ短調は、とろけそうな静謐なメロディと、

デジタルに音が響く力強いフレーズが交互に組み合わされている。

リストの力強いメロディの部分はユニークで、

それを圧倒的な力で、それも疾風のような速さで、

まさにインカルツァンドのお手本のように、アルゲリッチは弾いてくれる。


繰り返しになるが、リストはこの曲を女性のピアニストを意識して

作曲していたのだろうか。

女性がこの曲を弾きだしたのはいつ頃からなのだろうか。

とにかく、鍵盤の上で、リストとアルゲリッチの闘いがくりひろげられているような、

そんな録音なのである。


シューマンソナタも、とてもよろしくて、リストのそれと甲乙つけ難い作品である。


楽曲
1 リスト:ピアノ・ソナタロ短調
2 シューマン:ピアノ・ソナタ第2番ト短調 作品22