遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

逃亡者/アンドリュー・デイヴィス

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逃亡者

監督 アンドリュー・デイヴィス

出演者
ハリソン・フォード
トミー・リー・ジョーンズ


1964年にTBSではじまった外国ドラマ「逃亡者」。

主人公リチャード・キンブル役は、デビッド・ジャンセン。

デビッド・ジャンセンの日本語吹き替えが睦五郎で、

知的で端正な声が、医師で妻殺しの容疑者キンブルにぴったりであった。


妻殺しの罪でリチャード・キンブルを護送中の列車が、大脱線事故を起こし、

そのどさくさにまぎれて、キンブルは逃亡者になるのである。

毎回ドラマの冒頭で、キンブルが逃亡者になったいきさつや、

列車事故から、逃亡をはかる彼の必死の姿がリピート放送される。

「リチャード・キンブル。職業、医師。・・・・」というナレーションと共に。


このドラマは空前の大ヒットとなり、キンブルの妻殺しの真犯人は、

実は、彼を追いかけているジェラード警部じゃないか、という噂まで飛び交い、

日本中の老若男女が、キンブルをいつまでもどこまでも逃がしてやりたいと、

願っていた穏やかな平和な時代だったのである。


その日米で大ヒットをした「逃亡者」の映画版が、

キンブル役にハリソン・フォード

ジェラード役にトミー・リー・ジョーンズを擁して製作されたのが1993年。


映画版用にディテールはTVシリーズとは変えてあるが、

大きい話の流れはそのままに、


トミー・リー・ジョーンズは追いかけるのである。


ハリソン・フォードはただ逃げるだけではなく、

妻が殺された夜に、自宅から逃げ去った片腕の男を探すために、

全身全霊をささげる。

細心の注意を払いつつも、大胆に未来へ希望をつないでいく、

その一部始終が、サスペンティックなのである。


そして、この映画で一際かっこよかったのが、追いかけるトミー・リー・ジョーンズ

逃げる役回りより、追いかけるほうがカッコイイに決まっているが、

それにしてもトミーは、いい感じだった、

彼のための脚本は、隅々まで吟味されていた。

優れた脚本で、連邦保安官としての捜査の才能と部下を掌握する技術を植え込まれた結果、

彼は、アカデミー賞助演男優賞を獲得した。


忘れっぽい私には、10年おきくらいに何度でも楽しめる、

名作なのである。