遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

特別展大国/日本

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2009年に世界各地の美術館で開かれた特別展の1日当たりの来場者数調査で、

日本の展示会が1位から4位を独占したことが分かった。

それによると、1位は東京国立博物館の「国宝 阿修羅展」で、

1日当たりの来場者数は1万5960人。

2位は奈良国立博物館の「正倉院展」で同14965人。

3位には同9473人で東京国立博物館の「皇室の名宝―日本美の華」、

4位は同9267人で国立西洋美術館の「ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画」が入った。


この調査、特別展というところがミソで、

ルーヴルやオルセーやメトロポリタンなどの美術館は、

膨大なコレクションの「常設展」で世界中の人を呼び込んで魅了している。

一方、わが国では、スポンサーの新聞社や放送局が、

自らのメディアで大々的なキャンペーンを繰り広げ、

その「特別展」を見なければ乗り遅れてるのじゃないかという錯覚を与え続け、

暗示にかかった観客を動員し続けた結果が、世界上位を独占する結果となった。


とはいえ、特別展に本物を見たいとつめかけることはとても偉いことだと思う。


以前、正倉院展の記事を書いたときに、私は次のように独り言。
http://blogs.yahoo.co.jp/tosboe51/58789338.html

     宝物の色落ち予防など、展示への障害はあるものの、

     正倉院の宝物を常設できる展示場など、

     すぐできそうなものだろうにと、いつも思うのである。



観光立国するのなら、国宝を常設する美術館をバンバン建ててほしい。

たとえば、正倉院のお宝をいつでも観ることができる美術館があれば、

素晴らしいのになと思う。


ところで、東京国立博物館で1日当たりの来場者数1万5960人の、

「国宝 阿修羅」は、興福寺の国宝館で常設されている。

この国宝館は先月リニューアルオープンされて、

素晴らしい常設展会場となっていて、いつでも楽しめることができる。

平城遷都1300年祭に花を添える、常設展会場でもある。