遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ウランバートルのマンホールチルドレン

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モンゴルの首都ウランバートルで、家庭内の虐待や生活苦で家を出た少年少女が、

マンホールのの中で暮らしている状況を伝えたNHKのドキュメンタリー


始めてその放送を見たのは、1998年、ショッキングな内容であったが、

寒さをしのぐために、暖かいマンホールで仲間と暮らす、

哀しくもありたくましくもある少年少女たちに、

戦後の焼け跡の戦災孤児たちを抱えたことがある、私たちの過去を見るようでもあった。


さてその「マンホールチルドレン」と、

その少年少女の6年後を扱った「マンホールで大人になった」の二つの番組が、

BS20周年ベストシリーズとして、昨夜NHKでまとめて再放送されたようである。

私は、彼らの6年後の「マンホールで大人になった」も、2004年に視聴したが、

大人になったマンホールの少年たちの風貌と、朝青龍がだぶって見えて仕方なかったことを覚えている。

1999年に初土俵を踏んで、2001年にはすでに横綱に昇り詰めていた朝青龍

2004年には押しも押されぬ大横綱になっており、

故郷のウランバートルに何度も錦を飾る、モンゴルの英雄になっていた。


先ほど自ら引退を表明した朝青龍

引退記者会見では、さすがに涙を流していたのだが、

もっと驚いたのが、白鵬の絶句と涙であった。

あらためて、相撲界での朝青龍の存在感の大きさを認識したしだいである。


もう一仕事終えた感じの大横綱だが、

今はまだ人生を語らず、次の人生もより充実したよきものにして欲しい。


今後は、実業家や政治家の道を歩むという話も出ているのだが、

第二の人生は、モンゴルの子どもたちに夢を与えるような、

祖国を明るくする大人物になってもらいたいものである。

できれば、虐待や貧困の「マンホール」から、

子どもたちを救い出してやってほしいものである、

それがまだ29歳の朝青龍の、ノブレス・オブリージュなのだと思う。