旧の帝国大学の仏文科を3年前に卒業した、
わが部門に配属されたとても優秀な男に、
入社間もない頃、エクセルのシートを作ってもらったことがある。
この文系の優秀な男は、数値をなぜかわざわざ、テキストで入力してくれて、
それを加工しようとして数値のところが計算できないのに驚いたことがあったが、
それにも似たような出来事が、またぞろ・・・。
PC画面左下の「スタート」の表示の右横にある、「クイック起動」バー。
ふつうは「IE」「Outlook」と並んで、
「デスクトップの表示」アイコンが置かれている。
いろんな作業中に、デスクトップにおいたメモをみたり、
他のソフトを立ち上げたりするときに、
ワンクリックで、瞬時にデスクトップを表示してくれるので、
おそらくパソコンユーザーにはよく使われているアイコンだと思う。
デスクトップの表示は、ショートカットでも可能で、
「ウィンドウズ」キー(Altの左のキー)を押しながら「D」を押すと、
これまた一瞬にして、デスクトップを表示できる。
部下のある中間管理職、どちらかというと夜遅くまで居残っていて、
コツコツと真面目な男。
わが部門にやってきて8年くらい、
毎日PCでいろいろ仕事をしてくれている。
先だって、その男の横に座って、お互いの息抜きのために話しをしていて、
ふと彼のPCの画面に目をやると、
「デスクトップの表示」アイコンが置かれている「クイック起動」群が存在しない。
「デスクトップの表示」アイコンがなくても、
先ほど書いたように、ショートカットでデスクトップへ簡単に行けるのだが、
この男がショートカットを使うわけがないし、
そういうタイプであるわけがないし、どうしてるのかな???といやな予感。
そこで、私の質問、
「PC処理中に、デスクトップへ行くのにどうするの?やってみて!」
彼は、私の目の前で、開いているソフトやファイルを数回最小化して、
デスクトップへ行き着いてくれた。
目まいがして熱が出そうになった私は、
いつも遅くまで仕事をしている、ななめ左後ろの男のPC画面を見に行く。
恐ろしいことに、この男の画面にも「クイック起動」群が存在しない。
戦慄をおぼえつつ「デスクトップへ行くのにどうするの?やってみて!」
と、要請すると、この男もかなりの数のファイルを最小化し出した。
「おーい、だれかー、こいつらに、『クイック起動バー』登録してやって!」と私。
わが部門は、ちょっとしたお祭り騒ぎになり、
達人たちがタスクバーへの登録処理をトライしてやったり、
先人たちが「デスクトップ表示」のことを教えてやったり、
野次馬たちが「今までご苦労さま、自分も2年前まで知らなかったんだけど」
と揶揄したり慰めたりで、
それはそれで、二人のために美しいサポート体制が敷かれていた。
しかし、そもそも、昨年11月に全員まったく同じ新品のPCを貸与したのに、
なぜこいつらはそれを消してしまっているのか。
もしかして、使わないものだから、じゃまだとあえて消したのかも、嗚呼!
君たち、PCくらい効率良く扱って、家族の待つお家に早く帰ろうね。
もしかして、わが社の長時間労働はこういうことの積み重ねだったりして、
いかん悪寒がしてきた。