遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ブランデンブルク協奏曲/J.S.バッハ

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1989年までこのブランデンブルク門の前に、

ベルリンの壁が存在した。

その壁が崩壊してすでに20年が経とうとしている、

その歳月の速さに言葉を失う。


先だっては、世界陸上のマラソン選手たちが、

この門の下や周辺を何度も駆け抜けた。


ブランデンブルクといえば、バッハの協奏曲を連想する、

バッハが1721年に、ブランデンブルク辺境伯に贈呈した楽曲である。

それ以前に作曲していた手持ちの楽曲を、献呈したようである。


私はもう20年以上、カール・ミュンヒンガー指揮の、


ベルリンの壁が崩壊する前から、同じアルバムを聴き続けている。

録音は1959年とあるので、50年前のもので、

全6曲のうち、第3番と4番と5番が入ったアルバムである。

なぜこれを購入したのかまったくおぼえていないが、きっと名演奏なんだと思う。

現在も、このシュトゥットガルト室内管弦楽団の録音アルバムは、

楽曲の編成を変えて販売されている、息の長い1枚である。


ブログ記事を書きながら、聞き流しているときもあれば、

休日の朝に、まどろみながらうっとりと聴き入っているときもある。


楽器編成はシンプルで、ハーモニーは薄く、リズムは平坦であるが、

平らなドイツの大地を静かに流れる川のように、淀みなく新鮮で、

恋する心臓の鼓動のように官能的に響くところが、聞き捨てならぬところである。


生誕290年にして、その若々しさに何度も惚れ直す、

フルタイム全天候型一家に一枚標準的バロック名演名曲集である。