遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

パリの路線バス

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NHKのBSで、パリの路線バスにまつわるドラマと、

ドキュメンタリー番組を面白く観た。

舞台はパリ、人質(?)を取られたドラマの主人公羽田美智子が、

犯人からの電話の指示通りに、パリのバスを次々に乗り換えていくという展開。


ドラマはともかくも、パリの街を網の目のように走るバス路線に羽田が乗り、

車窓からの風景をたっぷり楽しませてくれるという趣向の番組であった。


また、番組では、38番路線、セーヌのシテ島をを中心点にパリを南北に走る路線の、

バスの運転手たちがインタビューに応えてくれ、

仕事中の面白いエピソードを気さくに語ってくれた。

彼らは制服を脱げば、単なるパリジャンなのだろう、

若くて明るくて、仕事に誇りを持っていることが伝わってきた。


私もパリに行った時に、路線バスに乗りまくった経験がある。

どこをどう乗ったのかよく覚えていないが、

■日本から持参した旅行ガイドのバス路線図をしっかり見て、目的地まで乗る

■ほぼ行き当たりばったりでバスに乗り、はとバス感覚で、車窓からの景色を楽しむ

という2つの乗り方を楽しんだ。


実は、メトロ(地下鉄)で利用するために、5日間有効のフリー切符で、

パリ中心部ゾーン用(1-3)の「パリ・ヴィジット」を購入したのだったが、

意を決してバスを利用してみたら、こちらの方がずっと楽しいことに気付く。

バス停はメトロの駅より多いし、日中の車内の雰囲気は明るいし、

うさんくさそうな乗客はうんと少ないし、

滞在中は、メトロと同じくらいのバスの使用頻度であった。


「この周辺を歩きたい」と思ったら、手元の降車ベルのボタンを押し、

止まったバス停で降りて、ここはどこじゃと改めてガイドブックで確かめる、

みたいな旅を楽しめるのが、バスを利用する利点だと思う。

パリにはなかったが、路面電車のある街は、

それを利用するのも、同じ楽しみ方ができるだろう。


私、今のところ、何も予定のないこの夏休み、

パリ(ロンドンや香港やウィーンでも同じ)に出かけられるお方、

行き当たりばったりの少し不安で、相当楽しい、

バスや路面電車を利用した、思い出の旅を企画なさってはいかがだろう。


もし、パリの38番線に乗られたら、

運転手に「ボンジュール」と笑顔で挨拶してやってください、

彼らは、そう言われることがとても嬉しいと、のたまっておりました。

歯を見せて笑わずとも、「ボンジュール」といわずとも、

せめて、唇の端を上げる程度の微笑みと、相手の目を見てうなずく程度のご挨拶が、

観光客のマナーかもしれない。

能面のごときわれら日本人は、特に心がけたいマナーだとも思う。


■パリ・ヴィジット PARIS VISITE(観光者用定期券)
パリ市内のバス、メトロ、パリ近郊までのSNCF(フランス国鉄)、RER(高速近郊電車)に乗り放題のほか、観光施設、レストランなどでの割引やサービスがついている得点ありのチケット。
カルト・オランジュと違い、どの曜日からも使用開始できる。
証明写真は必要なし。日本の旅行会社でも事前購入可。

ゾーン1-3/
3日:19.00ユーロ
5日:27.50ユーロ
ゾーン1-6/
3日:38.50ユーロ
5日:47.00ユーロ など

■カルト・オランジュ CARTE ORANGE(定期券) 証明写真が必要
パリ市内のバス、メトロ、パリ近郊までのSNCF(フランス国鉄)、RER(高速郊外電車)に乗り放題。
1ヶ月用(1日より月の最終日まで)と1週間用(月曜から日曜まで)がある。
ゾーン1-2/
16.80(週)・55.10(月)ユーロ
ゾーン1-3/
22.30(週)・72.90(月)ユーロ
ゾーン1-4/
27.50(週)・90.20(月)ユーロ
ゾーン1-5/
33.00(週)108.40(月)ユーロ など


ゾーン1-3は、パリ中心部の主な見どころはカバーできており、

そのから外の、たとえば郊外のベルサイユ宮殿などへ行くときは、

別切符を単独で買う方が、お徳であろう。

滞在日数、滞在曜日、行動範囲などによって、お好みで購入されたい。