1週間ほどの間に、複数の女性から、声を褒められた。
みな同じ職場の女性で、ひとりには直接褒められ、
そのほかに部下(これも女)からの伝聞で、
「私の周辺ではいい声だと言う女性が多いですよ」と。
私は自分の声や滑舌の悪さには、若い頃から嫌悪と絶望に等しい感情を持っている。
自分の頭の中で響いている声を聞いている分には、
何も感じないのだが、ホームビデオなどから自分の声を聞くと、
ちびまる子ちゃんのごとく、顔に縦線が走るほどげんなりしてしまうのである。
なので、私が撮ったビデオはほとんど無言。
解説や状況説明をしたいと思っても、自分の声を聞きたくないので無言ビデオ。
なのに、いい声だと急に声をそろえて言われてもにわかには信じ難い。
親しい人にそんなこと言われたことがないし、
今回のことを家族や知人に喜んで伝えても、
「お世辞」「蓼食う虫も好き好きのたぐい」とのありがたいお言葉。
だから、私の声は良いのだかどうなのか分らずじまいなのである。
少し話は逸れるが、
初対面の人に「誰か(有名人)に似てる」などと言われることがある。
「かつて好きだった人」に似ていると、
20代の頃に仕事関係の他社の30代の女性に言われたことがあり、
それはそれで、私の知らない素人さん似だからいいのだが、
有名人って、誰と似てるの?と思っていても、
答えが出たためしがない。
私が、誰に似ているのか、いつも判らずじまいである。
さて、声について話を戻すと、
ああいう声と喋り方がいいなと思う人が沢山いる。
先ほど亡くなられた音楽評論家の黒田恭一も、そのひとりだった。
風貌も良いし話も面白いし声も独特の響きで、お洒落な人だなといつも思っていた。
彼の優しい声質での演奏会の解説や評価を聞けば、
よほどのことがない限り、総て名演奏になってしまう。
でもそれでいいのだと私は思う。
黒田恭一で連想するのが、「20世紀の名演奏」のなかの、
3年前にこのDVDが発売されたと知り、間髪をいれずに購入した私のお宝である。
アルバムの内容紹介 クラシック音楽の"伝説の名演"が、DVDで甦る! NHKのアーカイブに残されていた歴史的名演の数々をパッケージ化。世界的名指揮者・名だたるオーケストラによる日本公演を贅沢にラインナップした「NHKクラシカル シリーズ」。おかげさまで、6月発売の第1弾は、4タイトル合計1万枚を突破しました。 「もう会えないものと諦めていた憧れの人と出会える」(音楽評論家・黒田恭一) 世界的にも貴重・希少な演奏映像を楽しめる、クラシック音楽ファン待望のDVDシリーズ第2弾。 ●ルートヴィヒ・ファン・ベートーベン 交響曲第7番 イ長調 作品92 ●ヨハン・シュトラウス ワルツ「美しく青きドナウ」 -1975年3月16日 NHKホール(渋谷)- ●ヨハネス・ブラームス 交響曲第1番 ハ短調 作品68 ●ヨハン・シュトラウス ワルツ「美しく青きドナウ」-1975年3月17日 NHKホール(渋谷)- ●フランツ・シューベルト 交響曲第7番 ロ短調 D.759「未完成」 ●リヒャルト・ワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」から前奏曲-1975年3月18日 NHKホール(渋谷)- <特典>リハーサル ・ヨハン・シュトラウス/ワルツ「美しく青きドナウ」 ・ルートヴィヒ・ファン・ベートーベン 交響曲第4番 変ロ長調 作品60から第1・第2楽章 インタビュー:カール・ベーム ニュース映像(音声なし) ◎解説: Karlheinz Bohm/吉井亜彦(音楽評論家)