遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

カール・ベームと黒田恭一

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1週間ほどの間に、複数の女性から、声を褒められた。

みな同じ職場の女性で、ひとりには直接褒められ、

そのほかに部下(これも女)からの伝聞で、

「私の周辺ではいい声だと言う女性が多いですよ」と。


私は自分の声や滑舌の悪さには、若い頃から嫌悪と絶望に等しい感情を持っている。

自分の頭の中で響いている声を聞いている分には、

何も感じないのだが、ホームビデオなどから自分の声を聞くと、

ちびまる子ちゃんのごとく、顔に縦線が走るほどげんなりしてしまうのである。


なので、私が撮ったビデオはほとんど無言。

解説や状況説明をしたいと思っても、自分の声を聞きたくないので無言ビデオ。


なのに、いい声だと急に声をそろえて言われてもにわかには信じ難い。

親しい人にそんなこと言われたことがないし、

今回のことを家族や知人に喜んで伝えても、

「お世辞」「蓼食う虫も好き好きのたぐい」とのありがたいお言葉。

だから、私の声は良いのだかどうなのか分らずじまいなのである。


少し話は逸れるが、

初対面の人に「誰か(有名人)に似てる」などと言われることがある。

「かつて好きだった人」に似ていると、

20代の頃に仕事関係の他社の30代の女性に言われたことがあり、

それはそれで、私の知らない素人さん似だからいいのだが、

有名人って、誰と似てるの?と思っていても、

答えが出たためしがない。

私が、誰に似ているのか、いつも判らずじまいである。



さて、声について話を戻すと、

ああいう声と喋り方がいいなと思う人が沢山いる。


先ほど亡くなられた音楽評論家の黒田恭一も、そのひとりだった。

風貌も良いし話も面白いし声も独特の響きで、お洒落な人だなといつも思っていた。


彼の優しい声質での演奏会の解説や評価を聞けば、

よほどのことがない限り、総て名演奏になってしまう。

でもそれでいいのだと私は思う。

黒田恭一で連想するのが、「20世紀の名演奏」のなかの、

カール・ベームウィーン・フィルの、1975年日本公演。

3年前にこのDVDが発売されたと知り、間髪をいれずに購入した私のお宝である。



アルバムの内容紹介
クラシック音楽の"伝説の名演"が、DVDで甦る! NHKアーカイブに残されていた歴史的名演の数々をパッケージ化。世界的名指揮者・名だたるオーケストラによる日本公演を贅沢にラインナップした「NHKクラシカル シリーズ」。おかげさまで、6月発売の第1弾は、4タイトル合計1万枚を突破しました。 「もう会えないものと諦めていた憧れの人と出会える」(音楽評論家・黒田恭一) 世界的にも貴重・希少な演奏映像を楽しめる、クラシック音楽ファン待望のDVDシリーズ第2弾。 ●ルートヴィヒ・ファン・ベートーベン 交響曲第7番 イ長調 作品92 ●ヨハン・シュトラウス ワルツ「美しく青きドナウ」
-1975年3月16日 NHKホール(渋谷)- ●ヨハネス・ブラームス 交響曲第1番 ハ短調 作品68 ●ヨハン・シュトラウス ワルツ「美しく青きドナウ」-1975年3月17日 NHKホール(渋谷)- ●フランツ・シューベルト 交響曲第7番 ロ短調 D.759「未完成」 ●リヒャルト・ワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」から前奏曲-1975年3月18日 NHKホール(渋谷)-
<特典>リハーサル ・ヨハン・シュトラウス/ワルツ「美しく青きドナウ」 ・ルートヴィヒ・ファン・ベートーベン 交響曲第4番 変ロ長調 作品60から第1・第2楽章 インタビュー:カール・ベーム ニュース映像(音声なし) ◎解説: Karlheinz Bohm/吉井亜彦(音楽評論家)