遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

漢字と読書

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『風信帖(ふうしんじょう)』 空海書  (国宝:京都・東寺蔵)

 

著作権も特許もない、誰がどう利用としようとまったく問題のない「漢字」、

それを利用して集金システムを作り上げたさる親子は、賢いと言えば賢い。

元手は一切かからない漢字が商品で、しかも星の数ほどある商品なのだ。


空海の時代から、新しい漢字が増え続けているわけでもなく、

大きな奥行きのある、でも決して膨らんでいかない漢字の世界を利用して構築した、

そんな集金システムは実に効率がよい。


「意見には個人差があります」が、

私は、漢字そのものだけを勉強するより、読み書きを暗記するより、

小説でもエッセイでも短歌でも詩でも何でもいいけど、

文章作品で漢字と触れ合うことのほうがずっとためになるし、

楽しい人生が送れると思う。


漢検資格のない私でも、新聞や翻訳小説で読めない字はない、

日本文学でも読めない漢字はほとんどない。

意味だってほとんど解るのである。

たとえ読めなくても、意味も解らなくても、自分で調べれば自分のものになるのである。


私、読む速度は遅くて、いろいろ楽しい読書以外の誘惑も多くて、

未読の本が溜まっているのだけれど、

読むことだけは止められない、楽しい時間なのである。


ホームレスの公田耕一さんも、私と同意見だと思います。

 【朝日歌壇 5月18日入選歌】

 雨降れば水槽の底にゐる如く図書館の地下でミステリー読む

                (ホームレス)公田耕一