遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

死んだ男の残したものは

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「死んだ男の残したものは」、TVで桑田圭祐がこの歌を歌っていた、
何たる素晴らしい選曲、およそ桑田と結びつかない。

デューク・エイセス高石ともやが歌っていたり、誰かのピアノ演奏でも聴いたことがある。

1965年に作られた、谷川俊太郎作詞、武満徹作曲という、史上最強コンビの、麗しい、力強い歌曲である。

何も残っていないとは、ある意味逆説的で、力強く生きていこうという、静かな誓いの歌である。
私たちの平和を希求する心は、永遠だというメッセージである。


     「死んだ男の残したものは」
     谷川俊太郎作詞・武満徹作曲


     死んだ男の残したものは
     ひとりの妻とひとりの子ども
     他には何も残さなかった
     墓石ひとつ残さなかった


     死んだ女の残したものは
     しおれた花とひとりの子ども
     他には何も残さなかった
     着もの一枚残さなかった


     死んだ子どもの残したものは
     ねじれた脚と乾いた涙
     他には何も残さなかった
     思い出ひとつ残さなかった


     死んだ兵士の残したものは
     こわれた銃とゆがんだ地球
     他には何も残せなかった
     平和ひとつ残せなかった


     死んだかれらの残したものは
     生きてるわたし生きてるあなた
     他には誰も残っていない
     他には誰も残っていない


     死んだ歴史の残したものは
     輝く今日とまた来るあした
     他には何も残っていない
     他には何も残っていない