アメリカン・ギャングスター
AMERICAN GANGSTER (2007年)
監督:リドリー・スコット
脚本:スティーヴン・ザイリアン
出演:デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウ、ジョシュ・ブローリン
AMERICAN GANGSTER (2007年)
脚本:スティーヴン・ザイリアン
出演:デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウ、ジョシュ・ブローリン
1971年3月8日ニューヨークはマディソン・スクエア・ガーデン。
4年間の空白の後、再起をかけジョー・フレージャーに挑戦した。
この世紀の一戦が楽しみで仕方なかった当時高校生だった私は、
放課後に学校近くの親友宅で、TV中継を見せてもらったことをおぼえている。
その一戦のリングサイドの特等席に、派手な毛皮のコートを着た黒人が現れた。
「アメリカン・ギャングスター」は、
実在した麻薬王(フランク・ルーカス)の半生記をあつかった物語である。
目立ったことをせず、しかしすでにニューヨークの麻薬王だったデンゼル・ワシントンは、
世紀の一戦を前に、妻から贈られた高価で派手な毛皮を身につけ、
アリの試合を観るためにリングサイドの席に着いた。
それが彼の最初のつまずきだった。
その時、マディソン・スクエア・ガーデンに集まった、
要人・著名人・暗黒街の黒幕の写真を撮っている刑事が、
麻薬捜査官のラッセル・クロウであった。
マフィアの席の前に座った派手な毛皮を着たあの黒人は誰だ、
とラッセル・クロウに思わせてしまったのが、ワシントンのつまずきであった。
「ノー・カントリー」で「逃げる男」を好演していたジョシュ・ブローリンが演じる。
この作品は、ニューヨークを舞台に静かな黒人麻薬王が、
イタリアン・マフィアを凌駕する「集金システム」を構築していく物語で、
正義感あふれるユダヤ系麻薬捜査官と、ギャング以上に性根の腐った悪徳刑事が絡んでいく。
3人のバトルロイヤルは、当たり前だが実話どおりに納まってくれ、
その実話のおさまりどころが、私は大いに気に入っている。
70年代初頭の時代考証に苦労したのだろう、スクリーン全体が暗いシーンが多くて困った。
屋外のロケでは映り込んでは困るものが多すぎて、暗いトーンで逃げたのだろう。
でも、当時の車はたくさん走らせてくれて、私には懐かしかった。
ちなみに、モハメド・アリはフレージャーとの試合でキャリア初の敗戦を喫してしまった、
私は実に落胆したことを、今でもはっきりおぼえている。