遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ノーカントリー/ジョエル&イーサン・コーエン

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昨年のアカデミー賞の作品、監督、助演男優、脚色の各賞を受賞した、

ノーカントリー」を1年越しでついに鑑賞。


例によって詳しいストーリーは書かないが、

かなり仕事のできる逃げる男ジョシュ・ブローリンと、

非常に仕事ができる追いかける男ハビエル・バルデムと、

かつては仕事ができたと思しき二人を追いかける男トミー・リー・ジョーンズが、

面白いドラマを展開させてくれる。


ことにハビエル・バルデム演じる男の仕事っぷりは特筆ものであり、

ターミネーターのごとく追いかけてくる。

こんなにも有能な奴に、こんな仕事をさせておくのはもったいないと思ってしまう。

そんな有能な男を、スペイン俳優バルデムが淡々と演じ

同時期に主演男優賞を次々に受賞した「熱き」ダニエル・デイ=ルイスと、

好対照な演技で、あらゆる助演男優賞をかっさらってしまった。

オスカーの授賞式では、さすがに熱いスペイン男の地を見せていた。

それにしても、すごい顔の男である。

この顔だけで、顔力だけで、仕事できますという看板になる。


バルデムが「追いかけてくる」という私の言い回しが、

逃げる男ジョシュ・ブローリンへの思い入れを表しているのだ。

逃げろブローリン!



作品の筋立てはいたって単純なのだが、

それを面白く見せてくれるコーエン兄弟の手腕は、

オスカー受賞という形で保証された。


原作があってそこから脚本を起こすことを「脚色」ともいうが、

監督と脚本のコーエン兄弟二人の分担はどのようになっているのか、

映画以上に不思議な世界である。


こういうのを映画と呼ぶのである。