装飾に用いられてきた。
前にしか飛ばないので、決して退却をしない決意を表すのに
蜻蛉をシンボルに用いた武将も多かったという。
エミール・ガレ(1846~1904)を筆頭に、
蜻蛉がお好きなようである。
私は飛騨高山美術館でまとめてお目にかかったことがある。
彼らは蜻蛉のみならず、蛾やカマキリやコガネムシなど、
すこしグロテスクな虫たちも見事に自分達のガラスに溶け込ませてくれる。
「蜻蛉(かげろう)の精」と題された、このラリックのトンボは、
おそらく世界で最も個性的で傲慢で美しい胸飾りであろう。
これを胸に飾り、この奇天烈さに適う女性はまず存在すまい。
リスボンはカルースト・グルベンキアン美術館に行かれた際には、
ぜひ実物をご覧いただきたい。
この作品は未見だが、
私は飛騨高山美術館のラリックで十分楽しめた。